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ニュースリリース

キラルデンドリマーアミン配位Gd錯体 −高感度MRI造影剤の開発 −
2008年2月22日


   近藤 輝幸 科学技術振興教授(京都大学大学院工学研究科物質エネルギー化学専攻)らの研究グループは、文部科学省科学技術振興調整費「京都大学・キヤノン協働研究プロジェクト―高次生体イメージング先端テクノハブ―」研究において、新しい高感度MRI造影剤の開発に成功しました。

 すなわち、近藤教授らは、キラリティーを有する(光学活性な)「デンドリマー」という樹状高分子をGd金属の配位子として用いることにより、新しいGd錯体の合成に世界で初めて成功しました。今回、合成に成功したGd錯体は、MRI造影剤に必要な自由水の 1H 緩和時間 T1 を大きく短縮させる能力を有し、現在、臨床に用いられている造影剤の約10倍の画像コントラスト能を有することが明らかとなりました。

研究成果の概要

 現在、使用されているGd系のMRI造影剤は、高濃度で投与する必要があることから、患者への肉体的負担は大きく、時として浸透圧ショック等を起こす可能性がありました。この理由としては、1造影剤であるGd錯体がイオン性であること、また、29配位のGd錯体の8配位までが塞がれ、撮像の観測対象となる自由水の配位できる場所が1つしか残されていないこと、および3従来の小さな配位子ではGd金属の回転運動を抑えられない(画像コントラストの減少)こと等が挙げられます。


図1.新規Gd造影剤

 一方、今回新たに合成したキラルデンドリマーアミン配位Gd造影剤は(図1)、上記の諸問題を解決し、1配位できる自由水の数が多いため(Gd金属1原子あたり、3分子以上の水の配位)、従来の造影剤の約10倍の画像コントラスト能を持つこと(図2)、2その結果、造影剤の投与量を従来の10分の1に減らせ、患者のQOLが向上すること、3非イオン性であり、マウスレベルでは急性毒性はなく、血管滞留性が向上したとともに、適度な腎排泄速度を示す、4がん組織への蓄積(EPR)効果が期待できる等の特徴を有しており、その活用が大いに期待されます。



図2.小動物実験用 MRI 装置での各種造影剤の評価、T1 測定(7T).



 NHKで放送されました。
 京都新聞(2月23日 27面)、中日新聞(2月23日 3面)、日刊工業新聞(2月23日 24面)、毎日新聞(2月23日 3面)及び読売新聞(2月23日 2面)に掲載されました。