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ニュースリリース

京大天文台アーカイブプロジェクトの開始について
2008年2月21日



左から、大野 照文 総合博物館教授、柴田 一成 天文台長、 冨田 良雄 理学研究科 助教、前原 裕之 天文台研究員

  冨田 良雄 理学研究科 宇宙物理学教室 助教、前原 裕之 理学研究科 附属天文台研究員、柴田 一成 理学研究科 附属天文台 台長らの研究グループは、花山天文台(1929年創設)や宇宙物理学教室(1920年創設)の古い倉庫や暗室に、80年前〜40年前に観測された月、小惑星、彗星、火星、木星、太陽スペクトルなどの古い天体写真乾板や写真ネガを多数発見しました。また故宮本 正太郎教授のご遺族宅に、貴重な火星のスケッチのデータが大量に保存されていることが判明しました。
 これらの資料は歴史的価値が高いだけでなく、天体の長期にわたる変動を調べる上でも貴重なデータとなります。また、本来の目的以外の天体(変光星など)の突発的な変動を調べる上でも貴重な役割を果たします。
 そこで、これらの大量の画像資料をデジタル化し、アーカイブとして保存・公開するというプロジェクトを京大総合博物館との協力の元に開始することにしました。貴重な画像の一部は、教材や絵葉書・カレンダーなどの形で、子供たちや一般市民にも、順次、公開していく予定です。


京大天文台アーカイブプロジェクト」の概要


1956年の火星接近時のスケッチ
花山天文台の30cm屈折望遠鏡(当時)による観測
1. 乾板@宇宙物理学教室:80年前の写真乾板発掘 
 月(70年前ザートリウス望遠鏡等によるものもある)、
  50-60年前 小惑星、彗星(三谷氏観測)、本田彗星の追跡観測
2. ネガ@花山天文台 
 月、火星、木星(30cm+45cm屈折望遠鏡による、30-50年前)
3.火星のスケッチ@故宮本正太郎教授ご遺族宅
 (30cm, 45cm屈折望遠鏡による、30−50年前)
4. 太陽館スペクトル(花山天文台、30−40年ほど前) (ネガは保存状態良い)
5. 日食(1920年頃)@宇宙物理学教室


アポロ計画のための月面地図作り
1960年代のアポロ計画のために、月面の詳細な地図の作成が行なわれた。
日本では花山天文台が協力。
30cm屈折望遠鏡(当時)と60cm反射望遠鏡(現在は飛騨天文台に移設)によって、月面の写真観測が行なわれた。
・60cm反射望遠鏡による月の「海」と呼ばれる地形の写真
・この他にも様々な月齢で、月の全面を詳細に写真観測
その中のいくつかは、
  1)故宮本正太郎(3代天文台長(1958-1975)、太陽コロナ研究や火星気象学のパイオニア)らによるものが含まれるなど研究史上意味がある、
  2)最近新たに認識されるようになってきた重要な天体現象について、発見されたより以前の同一天空領域の写真を探し出すことによって、過去にさかのぼって多くのデータを引き出すことができる。そこで、アーカイブ化し、公開することで、国内外の研究者による変光星の永年変化、惑星・彗星軌道の永年変化研究等に資することができる。まさに、新たな科学を生み出す可能性を内包したアーカイブである(1000年前に超新星の爆発を記録した藤原定家の明月記の現代版)、
  3)公開することによって全国に多数いる天文少年・少女へのサービスともなり、巡り巡って後継者の獲得にもつながる。

  というわけで、このたび、京大総合博物館との協力の元に、京大天文台アーカイブプロジェクトとして、これらの資料のデジタル化、アーカイブ化、デジタルデータのインターネットによる公開、画像を利用した教材、絵葉書やカレンダーの作成・配布などを行なうことになりました。ぜひ、市民の皆さんにも関心を持っていただき、ご支援をお願いしたいと思います。


 朝日新聞(2月24日 26面)、京都新聞(2月22日 30面)、産経新聞(2月22日 26面)、毎日新聞(2月22日 3面)及び読売新聞(2月22日 39面)に掲載されました。