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ニュースリリース

ジェーン・グドール講演会「地球社会の調和ある共存に向けて −野生動物研究センターへの展望−」の開催と名誉博士号の授与について
2007年10月18日



説明をする、松沢 哲郎 霊長類研究所長・教授
 京都大学は、このたび野生チンパンジー研究で高名なジェーン・グドール博士をお迎えして、本年度発足したチンパンジー・サンクチュアリ宇土ならびに京都大学霊長類研究所・福祉長寿研究部門を祝し、来年度発足予定の「京都大学野生動物研究センター」の設立を展望する講演会を11月11日(日曜日)に開催いたします。
 グドール博士に名誉博士号を授与することになりました。授与式は、11月12日(月曜日)です。


称号授与の趣旨


  英国ジェーン・グドール研究所・所長 ジェーン・グドール博士は、京都賞、英国王立人類学会ハックスリー賞、米国ベンジャミン・フランクリン・メダルなどを受賞している。その一方で、野生生物保全活動が高く評価されて、一般社会への貢献として国連平和大使などの職責も担っている。
 それらの受賞理由にあげられるように、グドール博士は、タンザニアのゴンベ国立公園で、野生チンパンジーの研究を1960年に開始し、47年間に及ぶ長期継続研究をおこなってきた。ゴンベでの野生チンパンジーの研究は、大著「野生チンパンジーの世界」(ハーバード大学出版局、邦訳・ミネルヴァ書房)として1986年に出版された。野生チンパンジー研究のパイオニアであり、第1人者であるグドール博士の学術的業績は、以下の3点に要約される。第1は、「道具の発見」である。人間以外の動物が道具を作り、使うことを世界で初めて発見した。この発見がきっかけとなって、野生チンパンジーの研究が大きく前進し、人間の進化的基盤の理解が深まった。第2は、「野生チンパンジー生態の全般的・包括的発見」である。肉食、狩猟、子殺し、集団間での抗争と殺戮。すべてグドール博士が世界で初めて発見し報告した。第3は、「親子関係と世代間伝播の発見」である。チンパンジーの寿命が50年にもおよび、そこで親から子どもへと引き継がれる知識や技術や価値がある。そうした世代を越えて受け継がれるものが地域によって異なり、チンパンジーにも文化的伝統のあることを証明した。
   人間以外の霊長類は、中南米と東アジアとアフリカに生息し、北米やヨーロッパには生息していない。したがって日本は、G8やサミットなど主要先進諸国のなかで、唯一サルがすむ国である。そうした自然環境の特異性や文化的な背景から、霊長類学は日本から世界に向けて発信し続けてきたユニークな学問である。その日本の霊長類学を担い、国際的な研究拠点となってきたのが京都大学である。1948年、今西錦司(当時、本学の講師、のちに教授、文化勲章受賞)と2人の学部学生が宮崎県幸島に野生ニホンザルの調査に行った。伊谷純一郎(のちに理学部教授)と川村俊蔵(のちに霊長類研究所教授)の2名である。彼らは、人間の社会の進化的起源を知るために、人間に近縁な動物としてのニホンザルに焦点をあてて、その社会の解明に努めた。10年後の1958年に、今西と伊谷は初めてアフリカ調査にでかけ、ゴリラやチンパンジーという、さらに人間に近縁な動物の社会と生態の調査を志した。こうした1958年以来継続している本学の研究者によるアフリカ大型類人猿研究と、グドール博士の研究、同時並行して進んだ研究プロジェクトの双方が呼応し相互に補完することによって、人間の社会・家族・親子関係・知性・文化などの進化的基盤の解明に寄与してきたといえる。伊谷らの尽力で、1970年代からグドールを本学に招いて、野生チンパンジー研究の成果の交換をおこなってきた。1990年にグドール博士が京都賞を受賞したころから本学とグドール博士の連携は緊密さをまし、1998年以降は、毎年1回来日して、京都大学等で特別講義をおこなってきた。グドール博士のチンパンジー研究は、チンパンジーを架け橋として、人間とそれ以外の生命がこの地球で共存することの重要性を繰り返し指摘してきた。グドール博士の研究は、本学の理念である「地球社会の調和ある共存」にまさに合致している。
 よって、グドール博士は学術文化に寄与した功績が特に顕著であり、京都大学名誉博士の称号を授与することが適当であると認める。


 ジェーン・グドール講演会
  「地球社会の調和ある共存に向けて −野生動物研究センターへの展望−」


 日時 2007年11月11日(日曜日) 午後2時から5時半まで(受付開始は午後1時)
 場所 京都大学百周年時計台記念館(1階、百周年記念ホール)

 >> イベント情報


 朝日新聞(10月24日 29面及び12月17日 2面)、京都新聞(10月24日 27面、11月13日 1面及び29面)、産経新聞(11月13日 24面)、毎日新聞(10月24日 27面、11月13日 27面、11月17日 24面)及び読売新聞(10月24日 35面、11月6日 37面、11月12日夕刊 15面)に掲載されました。
 京都新聞(1月24日 9面)に関連記事が掲載されました。