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ニュースリリース

『ヒト・社会・地球』のための連携協力
京都大学と慶應義塾大学は、「連携協力に関する基本協定書」に調印
2007年9月27日



左から、慶應義塾大学の
村井 純常任理事、安西 祐一郎塾長、京都大学の尾池 和夫総長、松本 紘副学長

 京都大学(京都市左京区、総長/尾池和夫)と慶應義塾大学(東京都港区、塾長(理事長兼学長)/安西祐一郎)は、連携協力に関する基本協定書に調印しました。
 両大学は、歴史・伝統を有する総合大学としてそれぞれの基盤を踏まえ、特長ある校風の発展と人材の交流を活かし、持続的、組織的に連携協力することにより、未来を先導し、社会に貢献する研究・教育活動を推進します。
 現在、環境、エネルギー、様々な感染症や疾病、貧困・格差等が、グローバルな課題として山積しています。この度の連携により、慶應義塾大学のSOI Asia(注1) GLOBAL STUDIO(注2)、そして京都大学の海外交流拠点など、両大学の有する海外ネットワークの相互利用により、地球規模のグローバルネットワークが実現します。その海外ネットワークを活用し、これらの諸課題解決に協力して取り組むと共に、それを通じて国際社会を先導する人材の育成を行います。また、本連携に伴い、「慶應義塾大学・京都大学連携基金(仮称)」の創設をはじめ、連携を支援する様々な環境を整備します。



1.協定の経緯
 今回、慶應義塾大学と京都大学が協定締結に至った経緯は、以下のとおりです。

(1)両大学の学風を比較すると、自主独立の精神が旺盛という共通点がある一方、慶應大学は実学志向で京都大学は基礎学術志向と言われるなど、異なる特色を有していること。
(2)また、国立と私立、関西と関東(古都と首都)という対照的な環境であり、相互に交流を深めることで、新たなエネルギーの創出が期待できること。
(3)既に個々の研究者の間では連携の実績があり、成果もあがっているため、協定にむけた土壌が整っていること。


2.協定の目的

(1)基礎から応用まで各領域での共同研究・研究協力の推進を図る。既に多くの連携が進んでいるが、これらを更に加速、発展させると共に、新たな連携が生まれるための環境を整える。組織的にもこれらを支援し、連携による創造的で質の高い研究成果を目指す。
(2)大学の博士課程以上の学生・ポスドクの研究における武者修行の場と、異なる研究環境を経験する機会を提供し、より幅広い視野を持つ人材を育成する。
(3)両大学の国際拠点を活用・連携して、1校だけではできない、より大規模な研究国際ネットワークを構築、発展させ、両大学の国際化を大きく加速する。


3.「慶應義塾大学・京都大学連携基金(仮称)」の創設
  本連携に際して、上記の基金を創設します。創設当初は両大学にゆかりの方からの寄付で二〜三千万円からスタートし、適宜規模を拡大していきます。基金は、連携による研究活動に必要な経費に用いられます。

4.主な連携内容
 両大学は、これまでも、『ヒト・社会・地球』に代表される、医学・生命科学、経済、情報メディア、地域研究等の分野において、多くの共同研究の実績があります。その実績を活用しながら、このたびの協定締結を契機に、研究、人材育成と交流、産官学連携、イノベーション創出、国際交流等の領域において、両大学の協力関係を拡充・発展させてまいります。
 当面の重点分野として、既に両大学の研究者間で既に共同研究の実績がある4つの分野[1医学・生命科学 2経済学 3地域研究(主としてアジア)4学際的、国際的な人材育成]を取りあげ、ヒトと社会の過去と未来をつむぐ連携協力の具体化を検討してまいります。

1[医学・生命科学](今ある命を守る)
 今後、両大学で、自己の体細胞由来のiPS細胞から神経幹細胞を誘導し、これを用いた脊髄損傷を始めとする神経難病の画期的な治療法の開発を進めます。これにより、2010年頃までに、サルを用いた前臨床研究を行うことを目指し、この成果は、脊髄損傷を始めとした神経難病に対して、自己の細胞を用いた細胞移植治療を可能にし、これらの疾患の根治療法の開発に繋がるものと期待できます。

2[経済学](社会の活力をつくる)
 京都大学経済研究所の複雑系経済研究センター、教育経済学寄附、研究部門金融工学センターの研究活動に慶應義塾大学も参加します。具体的には、現在、京都大学経済研究所と理学部物理第�T教室が運営するICAM京都支部(国際複雑系研究所、本部カリフォルニア大学)、教育に関する共同研究と国際ネットワークの構築、また、数理ファイナンスと金融についてのサマープログラムの実施などがあります。なお、国内における共同活動として、慶應義塾大学丸の内シティキャンパスで、アカデミックな講座を開催し、定期的に交流を図ることを検討します。

3[地域研究](過去に学びつなげる)
  両大学は、アジア諸国との教育研究における遠隔会議や遠隔抗議の実績において、また、地域研究において高い評価を得てきました。今後、本プログラムで構築される情報プラットフォームを利用した、地域研究に関する連続講義や会議を開催し、その際、情報ネットワークを生かし、アジア諸国における地域情報学などに基づく地域研究の発展をはかります。また、グローバルな問題とローカルな問題が交錯する特定な問題やサステイナビリティーに関する問題を選んで、多国間共同研究を組織し、さらに種々の問題に関する、系統的多国間同時進行国際会議を実施して、公論に対する発言力を強めます。

4[学際的、国際的な人材育成](未来の人材を育てる)
  本連携を通じた博士課程以上の若い研究者の交流に加えて、グローバル・ネットワークがもたらす国際的研究教育環境に、各国の現地の研究者、学生の参加を募り、真の国際的協働経験を持った、国際性豊かな人材を育成します。

5.連携を促進する両大学のグローバル・ネットワーク


慶應義塾大学と京都大学によるアジア地区国際拠点

 両大学は、グローバルに研究・教育を進めていく観点から、それぞれ、世界・アジアをつなぐ特徴有るネットワークを構築してきました。慶應義塾大学は、インターネット上に、世界の35拠点をつなぐバーチャルなネットワーク(SOI Asia, GLOBAL STUDIO等)を構築し、教育、研究活動に安定的に活用してきました。一方、京都大学は、アジア・アフリカを中心に、地域に根ざした32の拠点(リアルネットワーク)を基点とした研究、交流活動を推進してきています。
   両大学のネットワークを相互活用することにより、ブータン、ブルネイを除く、13カ国53拠点に渡るアジアのほぼすべての国を網羅し、また、欧米主要大学等ともつながる、わが国大学として最大規模のネットワークが実現されることとなります。
 このネットワークを活用することにより、1)先述の諸課題解決のために、優れた英知と地域の実情に即した情報を結集し、新たな学問領域を切り開き、2)創出される知や情報をリアルタイムで共有し、アジア全体の知識水準のレベルアップに貢献することを目指します。なお、その一環として、両大学のアジアに関連した研究者による「ヒト・社会・地球100人連携ワークショップ」(注3)の開催を計画しています。

アジアワイドの研究・教育プラットフォームの構築・運用
(ヒト・社会・地球100人連携ワークショップの実施)


メディア通信技術と人的ネットワーク整備による、アジア圏の研究・教育のためのプラットフォーム構築とそれを用いた世界への発信。

ネットワーク・メディア技術、コーディネータ組織を大学間で共通化し、アジア圏の数多くの組織の参加を促す。

アジア圏の多くの研究者を巻き込むリレー講義や分野横断的講義・会議を持続的に開催する。



 朝日新聞(9月28日 33面)、科学新聞(10月5日 2面)、京都新聞(9月28日 30面)、日刊工業新聞(9月28日 27面)、日本経済新聞(9月28日夕刊 42面)及び読売新聞(9月28日 37面)に掲載されました。