<用語解説>
(注1)
シアノバクテリア
藍藻ともいう。約27億年前に地球に誕生した原核生物。水を分解し、酸素を出す光合成系(酸素発生型光合成)を持った最初の光合成生物。
(注2)
クロロフィルd (Chl d)
光合成色素であるクロロフィルの一種。他のクロロフィルと異なり、近赤外光を吸収する。Chlには、a, b, c, d があり、Chl a は総ての酸素発生型光合成生物に存在するが、Chl d を持つ生物はただ1種のシアノバクテリア、アカリオクロリスだけである。
(注3)
光化学系II
酸素発生型光合成に必須の2種類の反応中心のうち、酸素発生反応を担うもの。20種類以上のタンパク質から構成される膜内在性の複合体。他は光化学系Iで、二酸化炭素の固定に使う還元力を生成する。
(注4)
スペシャルペアー
反応中心の主要な構成成分。水を分解するための高い酸化電位を持つ(電圧を発生する)分子、クロロフィルの2量体で構成。太陽光発電機と同じ機能を持つ。電圧の絶対値は吸収する光のエネルギーで決まるが、電位は変えられる。
(注5)
水分解
光合成反応では水から酸素が出てくることはよく知られた事実であるが、水を分解することの本質的な意義は二酸化炭素の固定に使うための「電子」を水から取り出すことである。酸素は副産物として出てくるだけで、酸素を出すために反応系が作られた訳でない。光合成生物ではマンガン原子を使って水を分解しているが、詳細な仕組みは未だに明らかになっていない。
(注6)
可視光、近赤外光
波長 400 nm から 700 nm の光を可視光という。近赤外光は可視光の最も長波長側、赤色からさらに波長の長い光を言う。一般には人間の目には見えない。波長が長いので、光が持つエネルギーは小さい。
(注7)
Chl d の再発見
1943年アメリカの化学者によって Chl d は紅藻の2番目の色素として報告されたが、再現性が乏しく、人為的生成物と考えられるようになった。2004年、村上と我々の研究グループとの共同研究によって、Chl d は紅藻の表面に付着しているシアノバクテリア、アカリオクロリスが生産していることが判明した (Science)。これによって60年間の議論に終止符が打たれた。
(注8)
電圧と電位
光合成系で発生する電圧は吸収する光エネルギーによって決められるが、電位は相対的なので、プラスにもマイナスにも調節できる。
(注9)
赤外線分光学
分子の振動状態の変化を測定する方法。
(注10)
米国科学アカデミー紀要
対象範囲は自然科学全領域のほか、社会科学、人文科学も含む。特に生物科学・医学の分野でインパクトの大きい論文が数多く発表されている。総合学術雑誌として、ネイチャー、サイエンスと並び重要である。
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