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ニュースリリース
1月25日・火曜日 記者発表

(2)低熱膨張透明基板について

Fig.2 bio-nanofiber

Fig.3 Optically transparent

bio-nanofiber reinforced composite.

Fig.4 OLED on bio-nanofiber reinforced composite substrate

 

 本部材は、透明ポリマー材料を生物由来の透明ナノファイバーで補強するという世界で初めての画期的な発想に基づいて創製されたフレキシブル透明基板です。私共はこの材料を「バイオナノファイバーコンポジット」と名付けました。


 補強材料にファイバー径100nm以下の透明ナノファイバーを使用することで、フレキシブルでありながら平行光線透過率85%を越える高い透明性とガラス並の低い線熱膨張係数の両立を達成致しました。ファイバー径がナノサイズであることから、この高い透明性は複合させる樹脂との屈折率差に左右されることがありません。また粒子形状では無くファイバー形状のフィラーであることから、熱膨張係数はフィラーとマトリクス樹脂との体積平均値よりもはるかに低減させることができました。

 さらに、このナノファイバーフィラーは、熱膨張係数がシリコン結晶の約1/30と石英ガラス並に低く、弾性率もガラスより高くアラミド繊維(ケブラー)並、と優れた特性を有しています。また、生物由来であり、生合成が可能で、生産・廃棄に関する環境負荷が極めて小さいなど、既存のフィラー材料には無い今後の社会要請に適合した特性も併せ持っています。

 従来、通常のポリマー材料基板上に形成した金属配線、透明導電膜、ガスバリア膜などは、組上げプロセス時、実装プロセス時の温度負荷で、基板材料との熱膨張係数の違いから断線、破損の可能性があり、これがフレキシブル表示デバイス実現の大きな障壁の一つとなっていました。今回、このような画期的なナノコンポジット材料、ナノコンポジット基板を創製できたことにより、また一歩フレキシブル表示デバイスの実現に近づくことができました。

 この成果は、長年透明ポリマー材料研究者の夢とされてきた樹脂製光学部品の精度向上、樹脂製大型窓材料の実現にも途を拓くものと考えております。

 本部材は、包括的融合アライアンスにおいて、京都大学生存圏研究所および京都大学大学院農学研究科の生物由来繊維材料に関する深い知見、材料メーカーである三菱化学の透明ポリマー材料およびコンポジット材料に関する知見、さらにデバイスメーカーであるパイオニアの発光デバイス、透明材料に関する知見やニーズ情報がまさに触発し合い融合し合って創出された成果です。

 本成果の一部はアドバンスドマテリアル誌に掲載予定です。


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