小 田 順 一
おいでませ山口へのキャッチフレーズで知られる山口がディスカバージャパンの1位に選ばれたそうだ。めでたいことである。とは申せ私は山口県民でもなければその回し者でもない。ただ縁あってこれまでに山口大学を訪れる機会には恵まれて来た。ご承知のように山口大学は湯田温泉街のはずれに位置していることから大学にお邪魔した時は,何時もこの温泉でストレスの解消をさせて頂いている。そんな訳で訪れる度毎に近辺の町並が新しく様変りしていることに気付いていたが,今回多くの人から町々が大変清潔になり住み易くなったことを異口同音に聞かされた。県内の美化は産業の少ない山口県が観光客誘致のために当局の音頭で始めたものと思われるが,それが県民の自覚を呼び起こし,今では各自が清潔なことを誇りとさえしていることは驚きである。とかく日本人は環境改善には苦手な人種であると言われる中で,山口のケースは,環境問題に関しては社会の1人1人の取り組みが如何に大切であるかを物語っている。
そこで,気になるのが我が大学の何処か雑然としたところである。その原因の1つが構内に駐車している多くの車であり,付随して駐禁のためにやたら置かれた防止柵や立看板などである。大学は車の乗り入れ禁止に努力されているが目立って改まったと思えない。
今や地球規模での環境破壊が懸念され,その1つにCO2による地球温暖化が大問題となっている。本年12月には京都で世界的規模の地球温暖化防止会議が開催され,そこでは2,000年以降のCO2の排出削減が図られよう。本学においてもエネルギー科学研究科が発足し,21世紀に向けての省エネ研究の体制は着々と進行しつつある。そんな情況の中で,職員諸氏や学生諸君の中に理由もなく1人でCO2を撒き散らしながら車で通勤,通学して来られる方がおられるのはいただけない。そのような方には環境問題を論じ,学ぶ資格はないであろう。このことを自覚頂ければ自然と不要な車は減少し,構内はキャンパスらしく生き返る筈である。
私は決して車社会を否定する積りはない。燃料電池や更には水素やメタノール燃料で走るゼロ公害車が実用化されるまでの僅かの我慢である。また,その間に第3キャンパスも含め駐車場の整備を図っておくことが肝要であることは言うまでもない。
同様に光熱類や情報化時代を念頭に紙などの消費量を10〜15%カットすればかなりの経費が節減されよう。これを種々の環境整備に当れば大学の環境も著しく改善されるであろう。自由な学風は永遠に不滅と考えるが,21世紀に向けて環境に優しい大学もまた同時に大切である。ドイツでは小学校ですらこれらの問題への真剣な取組みが始まっていると聞いている。ここらで本学においても挙げて省エネ,環境改善に真剣に取り組んで見ては如何であろう。
(おだ じゅんいち 化学研究所教授)
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