訃報

畠山伊佐男 名誉教授

本学名誉教授 畠山伊佐男先生は,2月18日逝去された。享年87。 

先生は,昭和8年京都帝国大学農学部林学科を卒業,続いて同大学理学部植物学科に入学,同11年卒業後,同大学院を経て,京都帝国大学理学部副手,講師,京都大学理学部助教授,昭和39年同教授に就任,同40年より8年間にわたり同大学理学部附属植物生態研究施設長を併任,同48年停年により退官され,京都大学名誉教授の称号を受けられた。

この間,植物生態研究施設の創設に尽力され,同施設設立後は部門の増設,ノートバイオトロンをはじめとする実験設備の充実,植物園の整備につとめ,今日の生態学研究センターへの発展の基礎を築かれた。退官後昭和61年まで,京都市立看護短期大学教授として,学生の教育と看護教官の研究指導に努められた。

先生は,植物の水分生理学,生理生態学に関する数多くの優れた研究実績を残され,この分野の発展に大いに寄与された。

先生はまた日本植物学会,日本生物環境調節学会の評議員,文部省学術審議会専門委員等を歴任され,学会・学術の発展に尽くされた。

ここに謹んで哀悼の意を表します。

(理学研究科)


東 愼之介 名誉教授

本学名誉教授 東 愼之介先生は,2月19日逝去された。享年73。

先生は,昭和21年京都帝国大学理学部化学科を卒業,同学部副手,助手の後,京都大学吉田分校助手に配置換,同助教授を経て,同38年教養部助教授,同40年同教授,同60年舞鶴工業高等専門学校長に就任,平成4年3月停年により退官された。この間,昭和46年4月から同48年3月まで京都大学評議員,同48年4月から同49年3月まで教養部長を務められ,同60年京都大学名誉教授の称号を受けられた。

先生のご専門は分析化学,とりわけトリウムの分析化学研究を主眼にして,その微量分析法を独自に開発し,「海水中のトリウムの分析化学」を完成された。近年は「湿式法による遷移金属酸化物の合成と物性に関する研究」の一環として「マンガン酸化物の結晶構造解析とその磁気的性質」の研究を進められ,その成果は新しい磁性体の新規合成法の提案のみならず,海底鉱物資源であるマンガン瘤の成因を解明する糸口として注目されている。また先生は,教養課程教育に先取的に取り組まれ,大学基準協会では一般教育研究委員会委員として大学制度の検討等に参画された。 

ここに謹んで哀悼の意を表します。

(総合人間学部)


若林 光夫 名誉教授

本学名誉教授 若林 光夫先生は,2月21日逝去された。享年91。

先生は,昭和5年京都帝国大学文学部を卒業,第三高等学校講師,同教授,西洋文化研究所員,龍谷大学予科講師,京都大学附属医学専門部講師,浪速大学講師,同教授を経て,昭和26年京都大学吉田分校教授に就任,同38年京都大学教養部に配置換となり,同43年停年により退官され,京都大学名誉教授の称号を受けられた。この間,昭和41年4月から同42年3月まで評議員として,本学の管理運営に貢献された。本学退官後,同43年4月から同54年3月まで京都産業大学教授を務められた。

先生のご専門はドイツ語,ドイツ文学で,特にヘルダーを中心としてゲーテに至る十八世紀文学思潮と現代文学,特にワッゲルル,ハウスマン,カロッサなど敬虔なドイツ精神の内面性を特徴とする諸作家の研究のほかに,翻訳等の分野においても数多くの優れた業績を残された。

ここに謹んで哀悼の意を表します。

(総合人間学部)


神野  博 名誉教授

本学名誉教授 神野 博先生は,2月21日逝去された。享年70。

先生は,昭和23年京都大学工学部工業化学科を卒業,同大学工学部助教授を経て同44年教授に就任,応用固体化学講座を担任された。平成2年停年により退官され,京都大学名誉教授の称号を受けられた。この間,昭和57年10月から同59年3月まで学生部長を,同59年11月から同61年11月まで評議員を,また同62年4月から平成元年3月まで工学部長を歴任され大学の管理運営に貢献された。さらに実験廃液処理装置の設置に尽力し,環境保全センターの創設に多大の貢献をされた。

本学退官後は,上智大学理工学部教授を経て,平成5年5月からは福井大学長を務めておられた。

先生は,セラミック材料化学,中でも窯炉における燃焼反応過程,燃焼条件とセラミックスの物性の関係,およびセラミックスの破壊機構に関する研究において優れた研究業績を残された。 

また,日本燃焼研究会,日本材料学会および日本セラミックス協会などにおいて,会長,理事,支部長の要職を歴任された。

ここに謹んで哀悼の意を表します。

(工学研究科)


磯江 景孜 名誉教授

本学名誉教授 磯江景孜先生は,2月22日逝去された。享年65。

先生は,昭和29年京都大学文学部を卒業後,同大学院文学研究科博士課程で学ばれた後,同37年名城大学法商学部専任講師,同43年立命館大学文学部助教授,同47年より教授を経て,同48年京都大学教養部助教授に就任,同58年同教授に昇任,平成4年総合人間学部教授に配置換,同7年停年により退官され,京都大学名誉教授の称号を受けられた。

本学退官後は,大阪工業大学教授に就任されていた。

学会においては,関西哲学会委員,日本哲学会年報『哲学』編集委員,文部省学術審議会専門委員等として活躍された。

先生は,カントの哲学を研究することから出発し,イギリス哲学研究や歴史哲学,現象学,解釈学,マルクス主義思想に関わる近現代のドイツ哲学を研究されたが,なかでも,特筆すべき仕事は,難解を極めるハーマン哲学の本邦で最初の本格的な研究をされた。その研究の一端はドイツの学会にも紹介されている。

ここに謹んで哀悼の意を表します。

(総合人間学部)


森下 正明 名誉教授

本学名誉教授 森下正明先生は,2月26日逝去された。享年84。

先生は,昭和10年京都帝国大学農学部農林生物学科を卒業し,京都帝国大学副手,京都府立嵯峨野高等女学校及び鴨沂高等学校教諭,九州大学助教授を経て,昭和40年京都大学教授に就任,理学部動物学科動物生理生態学講座を担任し,同51年停年により退官され,京都大学名誉教授の称号を受けられた。この間,理学部附属瀬戸臨海実験所長として管理運営面に貢献された。

先生の研究は生態学の多くの分野にわたり,いずれも高い評価を受けている。中でも次の業績は内外の学会から賞賛されている。まず,ヒメアメンボを材料とした研究で,野外の動物個体群の分散が密度の上昇とともに高まることを初めて実証し,その後の個体群生態学の発展に大きく貢献された。次に,アリジゴクを材料として,生物の環境に対する反応と個体群密度を一元的に理解し,複雑な環境を生物の密度に換算して評価する画期的な理論「環境密度理論」を構築された。さらに,個体群と群集の研究にとって極めて汎用性の高い一連の指数を開発された。特に個体群密度に左右されず,特定の分布型も前提としない集中度指数と,群集間の類似性を客観的に評価する指数は世界中で使われている。これらの業績により,昭和39年度日本動物学会賞を受賞された。

また,先生は,日本生態学会全国委員・同編集委員・同学会九州地区及び近畿地区会長,個体群生態学会会長を務められた。また京都府文化財専門委員,京都市公害対策審議会委員なども歴任し,その専門的見識を発揮して社会に大きな貢献をされた。

ここに謹んで哀悼の意を表します。

(理学研究科)


内海 恭三 農学部教授

農学部教授 内海恭三先生は,3月10日逝去された。享年53。 

先生は,昭和42年京都大学農学部を卒業,同大学院農学研究科で学ばれた後,岡山大学農学部助手,京都大学農学部助教授を経て,平成4年教授に就任された。

先生は畜産学,中でも家畜繁殖学に関する研究において優れた研究業績を残され,その発展に寄与された。特に最近では,優良形質を持つ家畜の効率的増産システムの確立を目標においた胚移植に関する研究を,基礎研究から家畜大動物を用いた応用研究まで幅広く積極的に取り組まれ,哺乳動物胚の凍結保存,胚の性判別,核移植胚の作出など国際的評価を受ける優れた研究成果を発表した。主な著書に,『哺乳動物の初期発生』,『凍結保存』等がある。

また,先生は,畜産分野のみならず医学分野においても内外の学界の発展に大きく寄与され,哺乳動物卵子学会の理事,胚移植研究会の事務局長等の要職を歴任された。学部および大学院において学生の研究・教育指導にも熱心に取り組まれ,各界に幾多の有為の人材を送り出された。 

ここに謹んで哀悼の意を表します。

(農学研究科)


柴田  實 名誉教授

本学名誉教授 柴田 實先生は,3月16日逝去された。享年91。

先生は,昭和5年京都帝国大学文学部を卒業後,京都帝国大学助手,助教授を経て,昭和25年京都大学教授(吉田分校)に就任,同38年教養部に配置換,同44年停年により退官され,京都大学名誉教授の称号を受けられた。この間,昭和31年4月から同33年4月附属図書館商議員,同33年6月から同35年6月評議員,同38年6月から同40年6月まで教養部長を歴任され,大学の管理運営に貢献された。本学退官後は,関西大学,仏教大学の教授を歴任された。

先生のご専門は日本文化史・民俗学で,中でも中世の庶民信仰や神祇信仰の研究において数多くの優れた研究業績を残された。特に祇園御霊会や八幡神の研究,六波羅蜜寺や壬生寺など,各地の民俗の調査報告は,日本の庶民信仰の研究の上で,欠くべからざるものとなっている。さらに,近世心学の創始者石田梅岩の著作などを収集・公刊し,心学を体系的・総合的に跡付けられた。主な著書に『中世庶民信仰の研究』,『日本庶民信仰史』,『石田梅岩全集』『梅岩とその門流』等がある。

これらの研究活動,学術上の貢献に対し,昭和51年には勲二等瑞宝章を受けられた。 

ここに謹んで哀悼の意を表します。

(総合人間学部)

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