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輝け!京大スピリット

2019年春号

輝け! 京大スピリット

ネタプロで真剣勝負

フィギュアスケート部 主将
藤井暁雅さん 総合人間学部3回生

練習開始は6時半。夕方ではなく、冬の早朝6時半。あたりはまだ薄暗く、息が白くなるほど寒い。「1限の授業に出るために練習をきりあげて大学に戻った部員もいるので、今日は人数が少なくて……」。主将の藤井暁雅さんは申し訳なさそうに言うが、貸切の京都アクアリーナのリンクには20名ほどの部員の姿が。曲に合わせて演技する部員、黙々と練習する部員、滑りながら談笑する部員。それぞれに目的を持って、練習に打ちこんでいる。

京大吉田キャンパスからこのリンクまでは電車を乗り継いで片道30分以上はかかる。練習は週2回。早朝に集まるために4時起きのメンバーもいるが、辛そうな部員は見当たらない。「貸切で練習できるので文句は言えません」。さわやかな笑顔で藤井さんが続ける。「京都での練習は楽なほうです。このリンクは夏はプールに変わるので、その期間は大津市のリンクに移動します」。早朝の練習とは対照的に、大津での練習は深夜12時から。たまには大阪まで遠出することも。「新入部員の9割は初心者です。あまりのタイトさに最初は音をあげますが、スケートの魅力を知ると、しんどくても耐えられるようになるのです」。なるほど、悲壮感はまったくない。

部員の9割が大学から始めたスケーター。各々が個性を生かし、1から自分らしいスケートを作りあげる

部員数は総勢50名ほど。大学のフィギュアスケート界では有数の規模だ。「ここまで個性豊かなメンバーが揃う部は珍しいですよ」。リンク内に『アルプスの少女ハイジ』の主題歌が鳴り響いた。BGMではなくプログラム曲だという。「試合が近づくと、プログラム曲を順番に流して練習します。京大は、普通なら敬遠されるような曲を選ぶ人が多いので、他大からは『ネタプロ(=ネタのプログラム)が多い』とよくちゃかされます(笑)」。藤井さんも1回生のとき、広島カープの応援歌に合わせて演技した。「振付を考えてくれた先輩は阪神ファン。すごくもめた記憶があります(笑)」。

プログラムはユニークだが、取り組む姿勢は真剣そのもの。「今シーズンは悔しかった」と藤井さん。シングルとともに取り組むアイスダンスでは、バッジテストに合格できず、目標の大会への出場が叶わなかったのだ。「でも、絶対にあきらめません。夏のオフシーズン中に大幅にレベルアップしたい。欲を言えば、現役最後の演技で後輩を感動で泣かせたい(笑)」。12月に任期を終えて主将を退いたが、選手としては卒業まで現役を継続。氷上に刻まれた努力の軌跡は、まだまだ輝き続ける。

2018年12月に岡山で実施した1、2回生合宿。先輩が少ない中、教え合い、自身で試行錯誤し成長する

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