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輝け!京大スピリット

2017年秋号

輝け!京大スピリット

高専柔道の頂点はゆずれない

柔道部 主将(平成28年度)
海野裕平さん
教育学部4回生

終了を告げるブザーが鳴ると寝技の攻防は静まり、そのまま畳の上で大の字になる。息を整える間もなく、一礼のあと、つぎの相手と組む。おのおのが一連の流れをくり返し、ハードな練習メニューを消化する。「道場は地下1階ですから、夏が近づくとかなり蒸します。体力的にも精神的にもきつい」。そのことばとは裏腹に、柔道部主将・海野裕平さんはさわやかな笑顔で語る。たしかに6月の湿気にくわえ、部員たちの熱気と発汗で道場は異様なほど暑い。

「すべては七大戦(全国七大学総合体育大会)のためです」。海野さんはそう断言する。七大戦における柔道は「七帝柔道」ともよばれ、京大柔道部は過去に10連覇を果たし、最多の優勝を誇る名門だ。近年は優勝から遠ざかったが、昨年に悲願の優勝を遂げる。「先輩が肩を脱臼しながらもチームのために尽くしてくれた試合もあり、優勝が決まったときはみんな泣いて抱き合いました」。日々のつらい練習が報われた瞬間だった。それだけにみずからが主将を務める今年、優勝にかける思いは人一倍強い。

「京大の強みは、体を倒した状態で掛ける、寝技の知識が豊富なことです。ほかの七大学とくらべても寝技の攻めかた・守りかたが確立されていて、1900年の創部からとぎれずに伝えられています」。七大戦の柔道は全日本選手権などでみられる講道館柔道ではなく、寝技中心の高専柔道を採用する。講道館柔道では禁止されている寝技への引き込みが、高専柔道では認められているのだ。「立ち技では体格や運動神経に頼るところがありますが、寝技は経験や知識がものをいいます。相手に技を掛けられたときに、どう対処するかを瞬時に判断できるかがだいじです」。疑問が生じれば、練習後に全員で輪になり、ともに考える。毎日くり返す習慣のなかで、つぶぞろいの戦力が育った。

練習後は部員同士で談笑しながら、ゆで卵やおむすびをむしゃむしゃとほおばる。もっと強くなるようにと、OBが食費を支援したことではじまった習慣だ。「いろいろな人に支えられて成りたつ部です。ぼくも柔道部に育ててもらったという思いがあるので、卒業してもぜったい応援します」。七大戦後に部を引退する海野さん。代替わり後も、長年にわたって培われた精神は絶えることなく受け継がれてゆくに違いない。

ブザーが鳴るまでの30秒間はたがいに遠慮なく技を掛けあう。「強い選手はかならず自分の寝技の型や得意技があります。みずからの弱点を克服して寝技のスペシャリストになってほしい」

練習後の様子

きびしい練習が終わるとくだけた雰囲気になる。「メリハリをつけることをだいじにしています」

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