第72回京都大学未来フォーラムを開催しました。(2018年10月23日)

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今回の京都大学未来フォーラムは、文学部卒業生で宝塚歌劇団演出家の上田久美子氏を迎え、百周年時計台記念館において開催しました。

「パンとサーカスの危ない時代に」と題した講演の中で上田氏は、現代社会の危うさや状況を、「ゆでガエル」という喩えを用い、ゆっくりとした変化に人は気付かず、問題の本質を見失ううちに危機を感じるが、その時には手遅れになってしまうと警鐘を鳴らしました。昨今の潔癖なまでの非寛容社会の中での「悪」の存在、変質と必要性、スマートフォン・SNSの普及による消費者・産業の変化がもたらしたエンターテイメントのアトラクション化、「物語」の役割(共感の拡張、痛みの肯定、悪の可視化)について、自身の手掛けた作品を例に挙げて、演出家の視点から語りました。

参加者からは、「確かに今まで、善と悪について、真正面から(存在するものとして)考えたことはなかったかもしれない」、「物語の役割の3要素は印象的だった」、「現在の住みにくさが悪の排除という、小さな悪におきかえる…等々の考えに気付きがあった」、「若い人たちの間にある「気まずさ」の話にとても共感できる部分がありました。もう一度、本当の個性を自分なりに表現できるようにしたいと思った」などの感想が寄せられました。

会場の様子

講演する上田久美子氏