「東京で学ぶ 京大の知」シリーズ22「世界とつながる日本の問題 -憲法・格差・環境・食-」第4回を開催しました。(2016年6月2日)

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連続講演会「東京で学ぶ 京大の知」のシリーズ22「世界とつながる日本の問題 -憲法・格差・環境・食-」第4回を東京オフィスで開催しました。

シリーズ22の第4回は、「食品価格とフードシステムの持続 -安ければいいのか?-」と題し、新山陽子 農学研究科教授が講演を行いました。

新山教授は、まず食糧自給率について、日本が先進国では異例の長期的低下を辿っていることを示しました。また、日本の農業経営の存続危機について語り、考えるべきものとして、食品が消費者に届くまでの、農業、食品製造業、小売業など一連のフードシステムとその持続を挙げました。そしてその重要な問題である「価格」について、消費者物価指数と生鮮食品価格指数の推移などから詳しく説明しました。さらに認知科学の知見から、消費者の価格判断や小売価格の低下についても考えました。また、生鮮食品の価格破壊は、食べ物への価値観も破壊するのではないかと語り、日本で年間700万トン(11.1兆円相当)発生すると考えられる残飯廃棄を踏まえ、「ただ安いものを買う」ことは、節約、生活防衛になるのだろうかと問いかけました。さらに、2008年の原材料価格上昇時のEUの価格動向などを例に、市場でのパワーバランスや政策についても論じました。さまざまな視点を提示し考える新山教授の講演を来場者は熱心に聴いていました。

講演する新山教授

会場の様子