我が国のフィールド科学の祖とされる今西錦司博士が「生物の世界」を著して、すべての生物に社会があると宣言したのは、1941年、今西39歳のことでした。当時、人文・社会科学と自然科学との垣根は大変強固で、しかもヒトとヒト以外を同列に扱うことは人間中心の古い世界観に支配された世界の学界からは、強い批判を浴びました。しかし、その後の数十年で、こうした批判は影を潜め、日本の学術は、今や、さまざまな分野で世界をリードしています。地球規模の空間軸で、あるいは生命史・人類史の時間軸で解決すべき問題に私たちが直面する今日、若き日の今西博士が挑戦したように、今、大学の研究者は、新しい社会を拓くためのさまざまな研究に勤しんでいます。
そうした研究を紹介するため、このたび「対立を乗り越える心と実践-偏見や差別はなくすことができるのか? できるとすればそれは何か。-」をテーマに講演会を開催します。週末のひととき、こうした研究者を囲んで、未来を大いに語ってみませんか。
基本情報
- 東京オフィス・京都アカデミアフォーラム
- 在学生の方
- 企業・研究者の方
- 一般・地域の方
イベント内容
マイノリティーや障害者、外国人への排他的な言動が、この10年来、インターネット上のみならず、公然と路上で叫ばれるのは大変心痛む状況です。
しかし、生物としてのヒトという観点に立った場合、こうした問題はもともと非常に危うい基盤の上にあります。生物学的な知見に基づけば、ヒトは、もともと偏見や差別意識を持ちやすい心を持っているからです。このことは、昨今の心痛む状況も、この時代の特別の動きというよりはどの時代にあっても共通な事柄で有り、それを乗り越えるには、単に「偏見や差別はいけない」と教えるだけでない努力と工夫が要ることを教えてくれます。心理学、障害学、社会学の第一線で研究・活動してきた研究者が、最新の研究に基づいて活発に議論することで、実践的な方策を探っていきます。
挨拶 | 山極壽一 総長 |
---|---|
講演 | 見えない偏見-障害者を取り巻く問題に現れる心の動き- 栗田季佳 三重大学教育学部専任講師 |
バリアフリーという挑戦-「社会を変える」ことは可能か- 星加良司 東京大学教育学研究科附属バリアフリー教育開発研究センター専任講師 | |
「生きることを調べる」を生きるとは 岡原正幸 慶應義塾大学文学部教授 | |
討論 | 対立を乗り越える大学の挑戦 栗田季佳、星加良司、岡原正幸 |
申し込み
- 講演会参加希望
- 氏名
- 年齢
- 職業
- 住所
- 郵便番号
- 電話番号
- メールアドレス
京都大学学術出版会 シンポジウム掛
〒606-8315 京都市左京区吉田近衛町69番地 京都大学吉田南構内
Tel: 075-761-6182
Fax: 075-761-6190
E-mail: sympo*kyoto-up.or.jp (*を@に変えてください)
備考
後援: 読売新聞社、読売教育ネットワーク
Tel: 075-761-6182