森里海ミニシンポジウム「琵琶湖の環境と生物」を開催しました。(2015年10月24日)

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森里海連環学教育ユニットは、地球環境学堂・学舎および日本財団との共催で、森里海ミニシンポジウム「琵琶湖の環境と生物」を開催しました。会場となったフィールド科学教育研究センター会議室には、大学生、小学校教諭、研究者など、さまざまな方面から58名が集まりました。

まず、中西正己 名誉教授が、生態系の構成要素である物理環境・化学環境・生物群集の三つの側面から、琵琶湖と同じ古代湖であるロシアのバイカル湖との比較も交えて、琵琶湖の特徴について基調講演を行いました。次に、細谷和海 近畿大学教授には、生態学・系統分類学・生物地理学の三つの観点から、琵琶湖に生息する魚の多様性についての説明とともに、その多様性を脅かしている外来魚のブラックバスとブルーギルの生態と在来魚への影響について解説していただきました。さらに、京都大学の元職員である石井利和 氏には、滋賀県立琵琶湖博物館主催の市民による琵琶湖の環境調査の活動や自宅における琵琶湖の固有魚「ホンモロコ」の飼育を通して、環境と生き物を守ることの大切さをお話しいただきました。

パネルディスカッションの際には、大西広華 地球環境学舎修士課程1回生が、所属研究室で取り組んでいる、琵琶湖の外来植物オオバナミズキンバイの分布拡大に関する研究プロジェクトについて紹介し、これからの修士研究への意気込みを話しました。また、安佛かおり 森里海連環学教育ユニット研究員が、森里海連環学教育プログラムの実習科目のフィールドである琵琶湖の内湖・西の湖周辺の水質調査の結果と、そこから推察される湖岸のヨシ湿地の生態学的な役割について紹介しました。その後の討論では、陸と湖をつなぐ内湖やヨシ湿地の生態学的な役割や在来魚の保護の観点からの重要性に関して、また、外来種の問題において、立場が違う人々の間では外来種に対する価値評価が異なり、対策に関する合意形成が難しいという点に関して、講演者と話題提供者の間で活発に意見が交わされました。そして、その合意形成を少しでも円滑に進められるよう、研究者にはきちんとした実証データを示すことが求められるという結論でディスカッションは終了しました。

中西名誉教授による講演

細谷教授による講演

石井氏による講演

大西修士課程1回生による話題提供

パネルディスカッションの様子

会場からの質問