研究成果

情報による観測量の変化速度の熱力学的な限界を発見


2020年06月19日


     Andreas Dechant 理学研究科特定研究員、伊藤創祐 東京大学講師は、確率過程で記述されるダイナミクスに情報幾何学の視点を加えることで、熱力学的な観測量の変化速度と、「Fisher情報量」などの情報の抽象的な概念を結びつけることに成功しました。 また観測量の変化速度に関する新たな熱力学的な限界を発見し、生体システムにおいて隠れた自由度を検出する方法を提案しました。

     近年、生体分子などの小さなシステムで、情報という抽象的な概念を考慮する必要性が盛んに議論されています。 代表的な例はMaxwellのデーモンとよばれる考え方であり、この考え方によると情報という概念も熱力学的なリソースとみなせるとされてきました。 一方で、この情報という概念が熱力学的な観測量とどう関連し影響しうるかについては、現在に至るまで深く考察されてきませんでした。

     有限の熱コストで機能している生体システムにおいて、この熱力学的な限界が情報処理速度に影響している可能性があるため、今後本研究成果を通じて生体システムの熱力学的な理解が進むと期待されます。

     本研究成果は、2020年6月15日に、国際科学誌「Physical Review X」に掲載されました。

    図:隠れた自由度を検出する手法の概念図

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】 https://doi.org/10.1103/PhysRevX.10.021056

    【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/252301

    Sosuke Ito and Andreas Dechant (2020). Stochastic Time Evolution, Information Geometry, and the Cramér-Rao Bound. Physical Review X, 10(2):021056.


    情報による観測量の変化速度の熱力学的な限界を発見
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