ペロブスカイト発光ダイオードの発光効率を4倍に向上させることに成功 -次世代型ディスプレイの開発が加速-

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金光義彦 化学研究所教授、安達千波矢 九州大学教授、松島敏則 同准教授らの研究グループは、適切な有機材料を選択することによって、擬二次元ペロブスカイトLEDの発光効率を約4倍に向上させることに成功しました。

金属ハライドペロブスカイトは太陽電池の光吸収材料として注目を集めています。その光電変換効率は、シリコン太陽電池に匹敵する25.2%に到達しています。また、金属ハライドペロブスカイトは発光ダイオード(LED)の発光材料としても有望です。しかしペロブスカイトLEDの発光効率には問題が残されており、発光効率を向上させる技術の確立が望まれていました。

ペロブスカイト薄膜は簡単に作製でき、色純度が高い発光を示します。そのため、ペロブスカイトLEDは低コスト・高色純度な次世代型ディスプレイ用途として期待されています。本手法を用いればペロブスカイトLEDの発光効率を大幅に向上させることができるため、ディスプレイ産業分野に大きなインパクトを与えます。また、ペロブスカイトからのレーザー発振特性の向上も期待でき、医療や通信分野にも貢献できます。

本研究成果は、2019年11月12日に、国際学術誌「Nature Photonics」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究で開発した明るく発光するペロブスカイトLED

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41566-019-0545-9

Chuanjiang Qin, Toshinori Matsushima, William J. Potscavage Jr, Atula S. D. Sandanayaka, Matthew R. Leyden, Fatima Bencheikh, Kenichi Goushi, Fabrice Mathevet, Benoît Heinrich, Go Yumoto, Yoshihiko Kanemitsu and Chihaya Adachi (2020). Triplet management for efficient perovskite light-emitting diodes. Nature Photonics, 14(2), 70-75.