研究成果

原子磁石どうしが捻れて並ぶ現象のミクロな起源を解明 -新原理の情報記録技術をめざして-


2018年05月01日


     Sanghoon Kim化学研究所研究員(現・韓国ウルサン大学准教授)、上田浩平 同研究員、森山貴広 同准教授、小野輝男 同教授、中村哲也 高輝度光科学センター主席研究員、鈴木基寬 同主幹研究員、小谷佳範 同研究員、中村浩次 三重大学准教授、千葉大地 東京大学准教授、小山知弘 同助教らの研究グループは、高麗大学校、韓国科学技術院、サウジアラビア・アブデュラ王立工科大学との共同研究により、スピントロニクス素子で重要となる磁気カイラリティと呼ばれる原子磁石どうしの捻れ現象のミクロな起源を、磁気分光測定を用いて実験的に解明しました。

     本研究成果は2018年4月25日に、「Nature Communications」にオンライン公開されました。

    研究者からのコメント

     本研究によって、これまで固体物理分野の難しい問題の1つとされた、磁気モーメント間に捻れを生じさせる相互作用(DMI)の微視的な起源が、実験的に初めて明らかになりました。物質中の電子密度分布は、光学的性質、電気的性質、磁気的性質などに強く影響するので、本研究で得た結果は磁気デバイスの研究者だけでなく、様々なデバイス研究の研究者の関心を集めると考えられます。

    概要

     本研究グループは、磁気カイラリティと呼ばれる原子磁石どうしの捻れ現象のミクロな起源を、SPring-8のX線磁気円二色性測定技術を用いて実験的に解明しました。本成果は、目的の元素の磁性や電子状態を高精度に観測できるという、放射光の特色を活用したユニークなものです。また、磁気カイラリティの物理に関する基礎的な理解に重要であるだけでなく、将来の高いエネルギー効率を有するスピントロニクス素子や、磁気カイラリティを用いた新しい磁気記録材料の開発につながることが期待されます。

    (a)磁気細線に生じた磁壁の様子、(b) スキルミオン、(c) 一次元のカイラル磁気構造。記号Dは、DMIエネルギーベクトル(本文参照)を表す。この磁気(スピン)配列は鏡面対称のカイラリティを有している。

    詳しい研究内容について

    書誌情報

    【DOI】 https://doi.org/10.1038/s41467-018-04017-x

    【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/230940

    Sanghoon Kim, Kohei Ueda, Gyungchoon Go, Peong-Hwa Jang, Kyung-Jin Lee, Abderrezak Belabbes, Aurelien Manchon, Motohiro Suzuki, Yoshinori Kotani, Tetsuya Nakamura, Kohji Nakamura, Tomohiro Koyama, Daichi Chiba, Kihiro. T. Yamada, Duck-Ho Kim, Takahiro Moriyama, Kab-Jin Kim, Teruo Ono (2018). Correlation of the Dzyaloshinskii–Moriya interaction with Heisenberg exchange and orbital asphericity. Nature Communications, 9, 1648.


    原子磁石どうしが捻れて並ぶ現象のミクロな起源を解明 -新原理の情報記録技術をめざして-
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