研究成果

複雑な配管内の情報を正確な地図として自動生成するヘビ型ロボットを開発 -ImPACTタフ・ロボティクス・チャレンジによるタフなヘビ型ロボットの開発-


2017年09月01日


     松野文俊 工学研究科教授、奥乃博 早稲田大学教授、亀川哲志 岡山大学講師、鈴木陽介 金沢大学助教らの研究グループは、プラント設備の配管内の日常点検や緊急時の点検を目的としたヘビ型ロボットを開発し、複雑な配管内を走破し、配管内の状況を正確に提供することに成功しました。

     本研究成果は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)タフ・ロボティクス・チャレンジにおける研究開発課題「タフな索状ロボットおよび極限ヒューマンインタフェースのための極限制御システムの開発」で得られた成果です。

    研究者からのコメント

     プラント設備等の実環境で運用するために、
      ・防水防塵機能を実装したヘビ型ロボットの開発
      ・各種センサの情報を用いた様々な環境でのヘビ型ロボットの半自律制御の開発
      ・故障診断と故障時やタスク失敗時のリカバリー機能の開発
      ・オペレータへの負担のさらなる軽減化のために直感的で柔軟なユーザインタフェースの開発
    を進めています。これらの技術の導入により、プラントの配管設備の日常点検だけでなく、災害発生時の初動点検での運用も期待できると考えられます。

    本研究成果のポイント

    • ヘビ型ロボットに皮膚型触覚センサである全周圧力センサを搭載し、曲管を含む複雑な配管内の走破を実現
    • 音響センサによる配管内距離情報、慣性センサ(物体の運動を司る3軸の角度(姿勢)と加速度を検出する装置)からの進行方向情報、多関節モデルによる姿勢推定情報を組み合わせて、精度良くロボットの位置を推定し、同時に配管のマップを作成できる技術(統合型SLAM(自己位置決定と配管地図の同時生成))を開発
    • 先端カメラによる画像、全周圧力センサの接触情報、統合型SLAMとの統合による収集情報の可視化を行う点検用情報表示を高度化

    概要

     ヘビ型ロボットは、脚型ロボットや車輪型ロボットでは進入できない空間かつファイバースコープでは到達できない場所へのアプローチを実現し、狭隘で複雑な環境への検査点検ソリューションを提供することを目的に開発がなされています。その適用の一つとして、プラント設備の配管内外の日常点検や緊急時の点検を行うことが期待されています。

     これまでに配管内を走破するロボットは開発されてきましたが、オペレータに提供される情報が限られており、曲管などを含む複雑配管内でロボットを操作するのは困難でした。これは、オペレータはヘビ型ロボットの先頭に搭載されたカメラからの映像をもとにマニュアルで操作する必要があり、ヘビ型ロボットの配管内での状況を十分に把握できないことに原因がありました。

     また、これまでのヘビ型ロボットでは、移動が可能な場面であっても、配管内の情報を正確に収集することは困難でした。これについては、配管内をロボットが移動すると配管内の汚れの状態が変化し、カメラで取得したテキスチャ(視覚的な色や明るさの均質さ)が毎回変化することが多く、また、垂直の配管を上っている最中に滑り落ち、ロボットの位置が分からなくなるなど、従来の画像とオドメトリ(移動ロボットの車輪や関節の回転速度から移動速度を求め、それを積分して位置と姿勢を求める自己位置推定法)によるビジュアルSLAMが使用できないことに原因がありました。

     本研究グループは、これらの課題を解決するためにヘビ型ロボットとそのインタフェースの開発を進めてきました。このたび本研究開発の要素技術を統合化し、複雑な配管内を走破し、配管内の状況を正確に提供することに成功しました。

    図:(左)水平管から曲管を経て垂直管の内側を走破するヘビ型ロボット、(右)配管内点検用遠隔操作インタフェース

    詳しい研究内容について


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