第53回玉城嘉十郎教授記念公開学術講演会「物質化学の最前線 -分子技術-」

開催日
2014年12月01日 月曜日
時間
15時00分~17時15分
要申し込み
不要
公開日

 玉城嘉十郎先生は1886年のお生まれで、京都大学理学部において理論物理学を講じられ、在職中53歳の若さでご他界されましたが、その門下からは新しい分野を拓く物理学者が輩出されました。ご他界後30年に当たり、先生のご意志に基づいて、ご遺族より奨学のために多額のご寄付をいただきました。そこで、先生を記念して毎年1回ないし2回公開の学術講演会を開くことにしました。第1回は1969年秋、大学紛争のさなか、湯川秀樹先生、朝永振一郎先生を講師に招き、開催されました。以後45年、回を重ねること今回で53回に達しました。講演のテーマは、必ずしも既存の専門にとらわれず、明日の学問への展望を開くものをと心がけて選んでいます。

 この玉城記念講演会は、専門の研究者だけでなく学生諸君の参加も多く、またもとより公開でありますので、少数ながら熱心な一般聴衆の方々にも好評を博しております。

基本情報

開催地
  • 吉田キャンパス
益川ホール(北部総合教育研究棟1階)
北部構内(13番)http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r_n.html
対象
  • 在学生の方
  • 一般・地域の方
学部生・大学院生・教員・一般
参加費
聴講無料

イベント内容

プログラム

「有機超伝導体と量子スピン液体」

齋藤 軍治 名城大学農学部教授、京都大学名誉教授

1970年以降、金属性(1973年)や超伝導性(1980年)を示す有機物が開発されています。有機導体のバンド幅は狭いため、電子相関が大きいと、モット絶縁体となります。一連の有機導体 k -(BEDT-TTF)2X(BEDT-TTFは有機分子、Xは陰イオン、 k は有機分子の積層形式)は、Xを変化させることで、モット絶縁体-金属-超伝導体を与えます。また、そのスピン幾何構造は三角格子であり、三角格子形状に依存して、スピン同士は強いフラストレーション(topological spin frustration)によるスピン揺らぎを示します。その結果、正三角形スピン格子系は、理論で予測(1973年)されていました、極低温まで磁気秩序の無い量子スピン液体となります(2003年)。圧力によりスピン格子形状を正三角形からずらすと、金属相・超伝導相が出現し、その超伝導相はd対称性をもちます(2011年)。本講演では、遍歴性(金属、d波超伝導体)と局在絶縁性(モット絶縁体、反強磁性体、量子スピン液体)の境界近傍に位置する有機導体 k -(BEDT-TTF)2Xを紹介します。

「生命、エネルギー、環境、資源にかかわる気体の科学と技術」

北川 進 物質-細胞統合システム拠点長・教授

空気(酸素、窒素、二酸化炭素)、天然ガスとバイオガス(メタンが主成分)など気体物質は非常に重要な資源として益々重要になりつつあり、まさに今世紀は気体の時代といえます。しかし気体物質は見えず、形がなく、混ざって希釈され、ものによっては不安定、有毒なことがあり大変扱いにくい物質です。これを自在に扱い操作する材料として多数の小さい穴があいた多孔性材料に大きな期待が寄せられています。 レゴのようなブロックゲームが分子、イオンのナノの世界で行えることがわかってきました。私は配位結合(分子と金属イオンを結びつける接着剤の役割)を用いて、多様な形とサイズのナノ空間を産み出す化学を拓きました。これを用いてこれまで不可能とされてきた混合物や気体の分離、捕獲、大量貯蔵や、光応答性材料やポリマー合成などの多様な機能を実現することができました。この革新的な多孔性材料の将来展望について、現代の問題(地球環境、エネルギー、医療、健康)解決に焦点をあてて講演します。

申し込み

申し込み締切日

備考

主催:理学部・湯川記念財団
お問い合わせ
〒606-8502 京都市左京区北白川追分町
理学研究科 社会交流室
FAX: 075-762-1346
E-Mail: mail*cr.sci.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください)