個の医療に貢献する遺伝子解析キットの開発に成功

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近年、薬剤の副作用や効果に関連する遺伝子情報を臨床現場で活用し、重篤な副作用を回避して適正な薬剤を投与する試みが注目されています。しかし、膨大な遺伝子情報を臨床現場で解釈しながら、それを診断情報とすることは困難です。

松田文彦 医学研究科附属ゲノム医学センター教授は京都大学COIプログラムにおいて、東洋鋼鈑との共同研究により、個人に適した医療(個の医療)に貢献する遺伝子解析キットを開発しました。

今回開発した遺伝子解析キットは、甲状腺治療薬チアマゾールの副作用(無顆粒球症)に関連する4種類の遺伝子多型を絞り込み、東洋鋼鈑のバイオチップ技術を用いて高精度かつ簡便に臨床現場で測定することができます。この測定結果から、各個人の薬剤に対するリスク判定を行い、副作用の発症を未然に回避できるなど、患者に大きなメリットを与えることができ、また、臨床現場のニーズに答えることもできます。

本研究成果については、研究用キットとして専門病院等への社会実装を進めていきます。さらに今後、特定の病気に対する薬剤の内服で生じる副作用の予測や、健康づくりに役立つ情報を提供できる遺伝子解析キットの開発をすすめ、誰もがほっこりと安心して暮らすことができる社会の実現を目指します。

遺伝子解析キットによるリスク判定
遺伝子キットを用いて、副作用に関わる遺伝子多型がいくつあるのかを判別することができます(リスクスコア0~4、数字が大きいほどリスクが高い)。