人と一緒に笑う会話ロボットを開発―人に共感し、人と共生する会話AIの実現に向けて―

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 井上昂治 情報学研究科助教、Divesh Lala 同特定研究員、河原達也 同教授の研究グループは、人が笑ったときに適切に笑い返すことができる会話ロボットを世界で初めて開発しました。既存の会話ロボットに搭載されている会話AIは、聞かれたことに対しては適切に答えられますが、相手(人間)に対して「共感」することは難しく、自然な話し相手として人と共生する存在には至っていません。

 本研究グループは、相手に共感するためのふるまいとして、相手が笑ったときに、それにあわせて自分も笑う「同調笑い」に着目しました。初対面の男女による会話データをもとに、相手の発話の音声的な特徴に基づき、相手が笑ったか、自分も笑うか、そして笑う場合はどのように笑うか(大笑いか社交的な笑い)を判定する3つのモデルを構築しました。この同調笑いのモデルを会話ロボットの機能として統合し、その有効性を確認しました。

 本研究の成果は、特に日本のような高齢化社会において期待されている、人と共生する会話ロボット・AIの実現に寄与することが期待されます。今後は、様々なロボット・会話場面に対して、この同調笑いの機能を適用して効果を検証していく予定です。

 本研究成果は、2022年9月15日に、国際学術誌「Frontiers in Robotics and AI」に掲載されました。

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自律型アンドロイドERICAとの会話の様子

研究者のコメント

「ERICAさんが初めて一緒に笑ってくれたときは、まるで心が通じあったように感じました。しかし今回実現した機能は、私たち人間が日常の会話で行っている「笑い」という行為のうち、ごく一部の表面的なものにすぎません。すべてが実現できたとき、「なぜ私たちは笑うのか」という哲学的な問いに対する一つの答えになるかもしれません。」(井上昂治)

研究者情報
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.3389/frobt.2022.933261

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/276426

【書誌情報】
Koji Inoue, Divesh Lala, Tatsuya Kawahara (2022). Can a robot laugh with you?: Shared laughter generation for empathetic spoken dialogue. Frontiers in Robotics and AI, 9:933261.

メディア掲載情報

日本経済新聞(9月29日 42面)、毎日新聞(9月29日夕刊 9面)、日刊工業新聞(10月3日 22面)、産経新聞(10月4日 18面)、京都新聞(10月16日 14面)および京都新聞(11月4日 20面)に掲載されました。

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