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京都大学ローム記念館竣工式典 挨拶 (2005年5月27日)

尾池 和夫

 本日、待ちに待ったローム記念館が、竣工式を迎えました。産官公学連携のシンボルとしてのこの記念館の前で、今、テープカットに、ローム株式会社の産、そして官、公のご来賓とともに、井村元総長、長尾前総長、そして京都大学の私たちが並ばせていただき、その感激の余韻が残っていて、この祝辞の言葉がまだ落ち着かない感じです。

 本日、いよいよ、この郵便番号615-8520、京都市西京区京都大学桂という所在地名を持つ京都大学ローム記念館が、グローバルな産官公学連携の拠点として、先端研究・産学連携研究の推進の場として、各種国際会議・イベントの開催の場として、多くの方々の情報交換の場として、そして、新たな文化創造・地域交流の拠点として、その機能を世界に向かって発揮することになります。

 京都大学と、ローム株式会社が、京都大学ローム記念館の建設を通じて、相互の学術交流の協力関係を強化することで合意に達したという発表が行われたのが、覚書が締結された2003年10月15日のことでした。

 ローム記念館のご寄附をいただいた経緯を、今私はあらためて思い起こしています。京都大学とローム株式会社は、それまでにも、光デバイス・新機能・高機能デバイスを研究するため、「ローム京大研究開発基金」を設定し、あるいは、有機系エレクトロニクスデバイスの研究のための異業種交流を行う「包括的産学融合アライアンス」などの積極的な産学連携を行ってきておりました。それらの実績の延長上で、さらに本格的な共同研究のスタイルの協議が進み、ローム株式会社から建物を寄贈していただくことの検討が行われました。

 この包括的産学融合アライアンスの中では、例えば、京都大学とパイオニア、ローム、三菱化学が、フレキシブル・デバイス向け有機発光トランジスタとバイオ・ナノファイバ補強による低熱膨張透明基板を開発したと、今年、2005年1月26日に発表したことを、皆さん覚えて下さっていることと存じます。

 京都大学では、産学連携の拠点作りを桂キャンパスに想定して、国際融合創造センター(IIC)を中心に、学内で企業寄贈建物の受け入れ検討委員会が設置されました。この間、佐藤社長、長尾前総長を含めたトップ会談なども行われ、実現への道を進んで来ました。

 ローム株式会社は、日本における産学連携の新たなスタイルを提案し、実行してこられた会社です。包括的産学共同研究や融合アライアンスプロジェクト、そして拠点となる建物の寄贈を実践されています。私は、企業の社会貢献の歴史に残るモデルとして、ローム株式会社のこれらの方針を拝見してきました。

 このローム記念館は、京都大学にとって、産学連携を推進する上で、またテクノサイエンスヒルと呼ぶ桂キャンパスの、理念および機能を実現する上で、重要な役割を担うものであります。文部科学省、財務省など、多くの関係者のご努力によって、桂キャンパスの全体計画が進められておりますが、このローム記念館をご寄贈いただいたことが、関係省庁のご理解をいただくことにも大きな影響を及ぼしたことと思っています。

 さらに、産官学公の連携で大きく前進する桂キャンパスのシンボルとして、産学連携推進の拠点としてのローム記念館の建設が、研究成果活用プラザ京都、京大桂ベンチャープラザを誘致し、そして桂イノベーションパーク構想を大きく推進する原動力となっていると思います。

 ここまでたどり着くことができたのは、ひとえにご関係の皆様方のご理解と熱意とご努力の賜であり、京都大学を代表して皆さまにお礼を申し上げます。

 ローム記念館にはすでに実績をあげておられる先輩があります。例えば、同志社ローム記念館では、2005年度の誘致プロジェクトや公募プロジェクトがたくさん走っています。

 ローム株式会社では、若い技術者たちの挑戦が続いています。古くて新しいトランジスタの新製品をユーザーの要求と期待で開発する、高い技術力で新製品を世の中に、自分の手で世界初の製品を、大きく発展する情報通信分野でつねに最先端に挑み続ける、というような目標を設定して、多くの若い研究者たちが、京都や東京や、新横浜のデザインルームなどで開発の仕事に励んでおられます。そこには、京都大学の出身者もたくさん活躍しています。

 それら、先輩のローム記念館やローム株式会社の方々とも、京都大学が交流を進めていく窓口として、今後はこの京都大学ローム記念館が機能することになります。今日、この竣工式にご参加いただいた皆さまにも、どうか、これらの活動に、今後ともよろしくご支援を賜りますようお願いして、私の竣工式にあたっての挨拶といたします。

 どうもありがとうございます。

ローム記念館竣工式典 祝賀会での挨拶

屋上からの眺め

 この待ちに待った竣工式の祝賀会に、たくさんの方々にお集まりいただき、本当にありがとうございます。

 さきほど、屋上から京都盆地を眺めながら、いろいろのことを考えておりました。ローム株式会社のある京都盆地の地下構造は、京都市によって詳しく調査されました。五条通りの西院あたりで地下300メートルあたりに基盤岩があり、その上には大阪層群などの新しい地層(100万年前以降)がたまっています。この西山の丘陵には、京都府の調査によって、浅いところに同じ基盤岩があることがわかりました。その基盤岩のすぐ上には95万年前くらいに海底で堆積してできた大阪層群があります。そして、新しい上の方の地層は浸食されてなくなっています。

 その盆地の堆積層の中に、豊かな地下水が蓄えられていて、その地下水で、裏千家や表千家の茶の湯の井戸ができ、湯葉や豆腐が生まれ、伏見の銘酒が生まれ、ロームの半導体が生まれました。この地下構造が京都市に歴史を作り上げてきたのです。京都市は驚異と議定書でも知られていますが、豊かな地下水をもとにした長い歴史の伝統とそれぞれの時代の文化があり、それがローム株式会社の水を大切にする考えにも結びついていると思いながら、この京都盆地の景色を見ていたのであります。

 東洋電具製作所として創業されたのは1954年です。1963年には、金属被膜固定抵抗器の開発を行い、販売が開始されました。私自身がロームにお世話になったのは、この頃からでありまして、精度の高い、しかも抵抗値が変化しないこの抵抗器のおかげで、測定システムの物差しを作ることができました。さらに、1960年代という早い時期から、品質管理を導入し、半導体の開発を開始し、また一方では「目で見る音楽史」をソノシート付で出版するというような、個性豊かな経営の方針が、ロームの今日を作り上げてきたものであり、その歴史には私たちも大いに学ぶところがあります。

 京都西山断層帯は、全体が1つの区間として活動すると推定され、その場合には、マグニチュード7.5程度の地震が発生し、3-4m程度の北東及び西側が相対的に高くなるように動くと考えられています。しかし、この桂の丘陵はしっかりした大阪層群でできており、たいへん良い地盤であります。とはいえ、このローム記念館を使われる皆さんも、日本列島のどこであっても同じですが、地震対策だけはぜひ忘れないようにしていただきたいと思います。それが、このローム記念館をいつまでも大切に使わせていただく心構えの基本になると思います。

 祝賀会の挨拶から、だんだん離れてきたかもしれませんが、備えあれば憂いなしというのが、日本列島の基本であることも忘れないようにお願いして、祝賀会の挨拶といたします。

 竣工式にいたるまでにお世話になった各方面の皆さまにお礼申し上げ、何よりもローム株式会社の佐藤研一郎代表取締役社長をはじめ皆様方にあらためてお礼申し上げます。

 本当にありがとうございました。

ローム記念館のホームページ

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