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京都大学学生チームが、合成生物学の世界大会iGEM(アイジェム)2010で金賞を受賞しました。(2010年11月5日~8日)

 iGEM(the International Genetically Engineered Machine competition)とは、マサチューセッツ工科大学(MIT)が主催する学部学生を主体とした合成生物学(synthetic biology)の国際大会です。この大会では、大会本部から送られてくる様々な遺伝子パーツ(Biobrick)や自分達でとってきた遺伝子を組み合わせることで、新たな機能を大腸菌などの生物に持たせます。実験で達成した成果をインターネット(wiki)上に公表し、MITでプレゼンテーションやポスター発表を行い、そのアイデアの独創性や新規性、社会的意義、研究の完成度を競います。iGEMの趣旨には学部学生の教育も含まれているため、テーマ決定から実験計画、実際の実験、モデリング、wikiの作製、そして英語での発表まで全て学生主体で行います。この大会の面白さに惹かれて、iGEM 2010では世界中から130ものチームが参加するまでになりました。


集合写真(提供: iGEM2010, Justin Knight氏)

 iGEM 京都大学チームは2008年度に結成され、毎年新しいメンバーを加えながら再編制し、今年で3年目となりました。メンバーは様々な学部の学生であり、アドバイザーとして大学院生や教員が参加しています。iGEM 2010では、昨年までの経験を活かし、テーマ決定から実験、wiki作製、本選(MITで開催)での発表までをやり遂げ、金賞を獲得することができました。参加した学生からは「苦しいこともあったけど、その分成長できたと思う」、「他では得られない貴重な経験ができた」といった声が挙がっています。この経験は将来様々な場面で役に立つと考えています。来年度は新たに浮かび上がった課題を改善し、優勝が期待されます。


実験の様子

プレゼンテーションの様子


ポスター発表での様子(提供: iGEM2010, Justin Knight氏)

今年のプロジェクト「Lysisbox」

 遺伝子を組み換えた細菌を人体や生態系で用いると予期せぬ事態(バイオハザード)が引き起こされる危険性があるため、遺伝子組み換え細菌を産業利用するまでには至っていません。そこで今年度のiGEM 京都大学チームは環境に応答する自己細胞死制御機構「Lysisbox」を作製することにしました。細胞死制御機構は溶菌(細菌が細胞壁の崩壊を伴って破壊され、死滅する現象)を引き起こす遺伝子を環境依存的に発現するように仕組んでいます。このLysisboxを使うことによって、遺伝子組み換え細菌を役目が終わったときに殺すことができ、バイオハザードを防ぐことができます。また、Lysisboxは薬品や消臭剤などにも応用できると考えられます。


Lysisboxの応用例

参加のご案内

 iGEMに参加することで、学部学生でありながら研究現場の醍醐味(自分でテーマを決定する、実際に実験する、数理モデルをつくる、過程や成果を様々な形で発表するなど)を実際に経験できます。またこの他にもウェブサイトの作製や、各種イベントでの発表による情報発信など幅広い活動を行っています。文科系理科系問わずどのような学部の方にも活躍の場がありますので、皆様の参加をお待ちしております。随時、説明会を行いますので、興味のある方は是非ご参加ください。この活動に賛同、または直接ご参加いただける教員の方のご連絡もお待ちしております。

連絡先: igem.kyoto*gmail.com(*を@に変えてください)
ホームページ: http://openwetware.org/wiki/IGEM:Kyoto

iGEM2010 京都大学チームメンバー

学生

志甫谷 渉(理学部3回生)
鹿島 誠(理学部4回生)
岡田 直緯(理学部3回生)
高田 智功(理学部3回生)
山本 拓弥(理学部3回生)
前田 勇樹(理学部3回生)
村山 知(薬学部3回生)
岡田 和也(理学部2回生)
梶田 憲(工学部2回生)
杉浦 佑(理学部1回生)
森 仁志(農学部1回生)
橋谷 文貴(理学部1回生)
岡田 卓也(医学部1回生)

アドバイザー

齊藤 博英(次世代研究者育成センター(白眉プロジェクト)特定准教授)
鍋谷 彰(生命科学研究科助教)
藤田 祥彦(生命科学研究科助教)
野村 M. 慎一郎(iCeMS/JSTさきがけ特定研究員)
藤原 慶(iCeMS/JSTさきがけ特定研究員)
今西 未来(薬学研究科助教)
中瀬 生彦(薬学研究科助教)
Elizabeth Nakajima(English Coordinator for Global COE for Biodiversity and Evolution)
樫田 俊一(生命科学研究科博士課程2回生)
林 瑛理(医学研究科修士課程2回生)

賛同者

吉川 研一(理学研究科長)
井上 丹(生命科学研究科教授)
竹安 邦夫(生命科学研究科教授)
白川 昌宏(工学研究科教授)
小山 時隆(理学研究科准教授)
戎家 美紀(医学研究科生命科学系キャリアパス形成ユニット特定助教)

指導教員

米原 伸(生命科学研究科長)