研究活動上の不正行為に係る調査結果について

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 このたび本学は、理学研究科のLianwei Peng 特定研究員(当時)(平成23年5月末退職)が著者として平成20(2008)年~24(2012)年に発表した5編の論文について、計11点の図に画像の加工による捏造・改ざんがあり、Peng元研究員による不正行為があったと認定しました。また、これらの論文の責任著者であり、同氏の指導教員であった同研究科の鹿内利治 教授について、不正行為には関与していないものの、当該論文の最終確認を怠った等、 内容に責任を負う者として認定しました。(詳細は、プレスリリース資料をご覧ください。)

 令和2(2020)年11月、本学に「Peng元研究員の論文1編(平成23(2011)年発表)に画像加工などの不正がある。」旨通報があり、それを受けて学内にて調査を行いました。調査は、被通報論文1編のほか、Peng元研究員が本学在職中に論文の図の作成に関わったすべての論文(原著論文6編を加えた計7編)を対象として行いました。不正行為を認定した 論文5編は、主に植物(シロイヌナズナ)の葉緑体に存在するタンパク質複合体に関する研究成果を著したものです。不正行為があった図は、概ねタンパク質複合体の解析結果を示すもので、いずれもPeng元研究員が単独で作成しており、共著者の関与は認められませんでした。いずれの不正行為についても、例えば見栄えをよくする以外には不正を行う必要性のないような加工など、論文全体の結論に影響を及ぼす内容ではありませんでした。また、不正行為があった論文は10年以上前に発表されたものです。不正行為による画像加工があった論文図に関する実験結果自体は概ね当該分野で再現性があると見なされているものであるため、学術研究の進展への影響は低いと考えられます。

 なお、調査結果に対する不服申立はありませんでした。本学としては不正行為が認められた全ての論文について、責任著者である鹿内教授への撤回勧告を行う予定です。処分については、本学就業規則に基づき今後検討します。

 本学では、これまでも公正な研究活動の推進に向け、学内規程などの体制整備に加え、平成27年3月に制定した 「京都大学研究公正推進アクションプラン」に基づき、研究者に対するe-Learning等の研修における啓発などの倫理教育、学生への「公正な学術活動」の啓発など様々な取組を進めてまいりました。今回の事案はこれらの取組を開始する前に出版された論文にかかるものですが、今回の事態を厳粛に受け止め、全学をあげて再発防止に取り組み、信頼回復に努めてまいる所存です。
 このような研究不正行為があったことは、本学の研究に対する信頼を裏切るものであり、国民の皆様や関係機関に多大なご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。

プレスリリース資料

 資料1 京都大学における研究活動上の不正行為に係る調査結果について(概要)

 資料2 調査内容及び調査結果について