国際交流センター長の挨拶(アーカイブページ)

国際交流センター長 椹木 哲夫

2016年3月に国際交流推進機構国際交流センターは廃止されました。

 

 京都大学国際交流センターは、1990年にその前身である留学生センターが開設されて以来、25年の歴史を刻んで来ました。外国人留学生の日本語・日本文化教育をはじめとして、多様な形態の日本語学習支援を行っています。その一方、これから海外に留学する京都大学の学生のために、国際交流に関する多彩な科目を提供しています。留学に伴って起こる様々な困難や危機管理についても、専門的な視点からアドバイスを行っています。さらに、国際交流に関わる調査・研究を進め、常に留学生教育はどうあるべきかを考えています。

 ところで最近の学生さんの率直な意見として、なぜ京都大学で国際化が必要なの? どうして留学経験を積まなければならないの? という疑問を投げかけられることがあります。確かに国内に居ながらにして世界に関する情報収集が叶う時代です。学内にあって一般教養と専門知識を学修し、具体的にこれらを運用できるようになれば、世界でも十分通用すると考えるのは、自然な考え方なのかも知れません。

 しかしこのような「教わる」学びに対して、「教えない」教育、すなわち学ぶ側の解釈の努力を引き出し、どう振る舞うかを考えさせるもう一つの学びの形態があります。毎回新しいものに出会い、工夫をしなければならない新しい場面が次々と目の前に展開して来るなかで、それに対応して行くことで自分を前に進めさせてくれる学びです。京都大学の学びの伝統である「フィールドワーク」はまさにこれを実践するものであり、自らを鍛え、自らを恃みとする学びでもあります。知らない文化、初めての状況とのかかわりの中で、必要に応じて即興的に立ち現れる行為を実体験させてくれるのが留学です。留学先において、そしてまた、このような経験と実践を求めて本学を訪れる留学生や外国人研究者達と日常的に関わり合うことで、同じものに向かい合う心を共有し、共感や信頼が生まれる体験を積み重ねることが、国際化の真の意義であると言えます。そしてこのような経験を通じて、国際社会の中で生き抜いて行くための俯瞰力と独創力を涵養できるのではないでしょうか。

 国際交流センターは、このような国際化教育の実践の場を下支えし、学びのモチベーションと場を提供していくためのさまざまなサポートを行っています。京都大学の学生や留学生の皆さんには、国際交流センターの活動をよく知っていただき、日常的に相談できる場所として活用していただきたいと思います。また、学内の教職員の方々においても、留学生教育へ支援いただくようお願いします。