留学には費用がかかります。したがってその費用をどう工面するかは大事な問題です。ここで、留学にかかる費用の内訳を考えて見ましょう。

留学準備~帰国までの出費を合計すると、相当な金額になります。具体的に、米国と、ドイツに留学した場合の費用の一例を次表に示しました。ただし費用はあくまで概算で、大学の寮に住むことを前提としています。具体的な費用は、留学先大学のホームページに"Living Cost" "Estimated Cost"などの名目で掲載されていることがありますので、確認してみましょう。

一つだけ考えておきたいのは、留学費用は非常に高いように見えますが、留学せず日本にいたとしても、それなりに費用がかかっていることです。本当の留学費用を考えるなら、留学によって不要となった日本での諸経費を留学費用から差し引くべきでしょう。

1年間の留学コストの例(2021~2022年)
  米国(私立) ドイツ(国立)
授業料、大学諸経費 58,843ドル(*1) 授業料はなし
生活費(住居費・保険代・教科書代等) 19,283ドル 10,300ユーロ

(注意)
*1 交換留学の場合には留学先の授業料はかかりません。
 

現地でのアルバイト

通常、留学ビザではアルバイトは認められていないことが多いです。禁止されているにも関わらずアルバイトの事実が分かると、強制送還されたり、将来その国を訪れることができなくなる恐れもあります。従って、アルバイトはできないものと考え、十分な予算を準備して渡航するようにしましょう。

留学前の出費

1. 情報収集費

留学についての情報を集めるためにかかる費用です。留学に関する情報誌、語学試験の問題集代、留学フェアや各国の教育センターなどへの交通費があります。

2. 試験費用

留学に語学試験が必要であれば、そのための費用が必要です。TOEFL iBTは245ドル、IELTSは25,380円(税込)かかります。力試しを兼ねて、まずは一度語学試験を受けてみることも必要なので、計画的な準備が必要です。

3. 出願料

多くの大学で出願料がかかります。京都大学からの交換留学の場合にはかかりません。

4. パスポート・ビザ費用

海外渡航時にはパスポートが必要ですが、それ以前に、ビザ申請や語学試験の受験にもパスポートが必要です。できるだけ早くパスポートを取得しておきましょう。

ビザの手続きは渡航先によって様々です。正式な入学許可書が届く前から、当該国の在日大使館・総領事館等で、手続きに関する詳細な情報を入手し、早くから準備をしてください。

5. 渡航費(往復)

渡航に伴う航空券代、リムジンバス等の費用です。また、渡航後、留学先の寮などに入居できるまでの間の宿泊費用も考えておく必要があります。たとえば一日70ドルのホテルに10日滞在しただけで700ドルになりますから、あらかじめ考えておく必要があります。あまり安いホテルは危険なこともありますので、気をつけましょう。

6. 海外旅行保険料

これについては、海外留学のリスク管理の項目でも、保険の種類などを詳しく説明していますので、かならず熟読してください。クレジットカード付帯の保険では、万一の時のリスクを十分にカバーできないことがありますので、留学に際しては、損害保険会社が提供する海外旅行保険に個別に加入する必要があります。コストは年間で十数万円程度になりますが、国によっては、何千万円もの治療費を請求されることもあるので、必要な保険をよく検討して加入してください。

留学中の出費

1. 授業料

授業料は各国の大学・学部により異なります。京都大学からの交換留学の場合には、留学先大学の出願料・授業料は免除となりますが、留学期間中も京都大学の学費は払わなければなりません。交換留学以外の形態で長期留学をする時は、京都大学を休学していくこととなります。休学期間中は京都大学の学費を払う必要はありませんが、休学をすれば卒業時期が延びることになります。

米国の大学、特に私立大学の授業料は非常に高く、年間で2万ドル以上となることもあります。逆に欧州の大学、たとえばドイツやフランスの国立大学では、授業料は必要ありません。またアジアの大学の授業料は一般的に安くなっています。これらの事を総合的に考えながら、希望する地域を検討してください。

2. 生活費

生活費には主として家賃、食費、交通費、衣料費などがあります。生活費は滞在先によって大きく異なります。ノートルダム大学であれば寮費として1学期間でおよそ7,992ドル、ハイデルベルク大学で月におよそ280~350ユーロかかります。これに加えて、その他の雑費なども考えておきましょう。

3. 現地保険料

日本で加入した海外旅行保険とは別に、現地の健康保険や自賠責保険への加入が義務づけられる場合の費用です。

交換留学の場合は、補償内容が一部重複していたとしても、日本と協定校指定の保険の両方に加入しなければいけません。

4. 書籍代

授業のための教科書代が必要となります。

5. 語学学校費用

米国や欧州の留学では少し早めに現地入りして事前に大学に併設されている語学学校に通うことがあります。そのための費用は個人負担です。

6. 旅行費用・小遣いなど

留学中に旅行をしたり、友人と飲食をしたりするための小遣いです。