松本紘総長からのメッセージ

伝統を基礎とし 革新と創造の 魅力・活力・実力ある 京都大学を目指して

松本紘総長

京都大学は創立以来、自由の学風のもと闊達な対話を重視し、京都の地において自主自律の精神を涵養し、高等教育と先端的学術研究を推進してまいりました。

 以来111年が経過し、京都大学は平成16年から国立大学法人京都大学となり、 法人化後中期目標設定および評価基準の導入など、国立大学時代とは異なる新たな制度・環境変化への対応に迫られています。

 激動の変革期といえる今、自由の学風を継承発展させつつ、多元的な課題の解決に果敢に挑戦し、地球社会の調和ある共存に京都大学らしく貢献することに以前にも増して大きな期待が寄せられていることを強く自覚しております。

 教育基本法第七条に「大学は、学術の中心として、高い教養と専門知識を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、その成果を広く社会に提供することによって、社会の発展に寄与するものとする」と明記されています。この基本法の精神において、第一の使命の教育は「知の伝承」を通して広く人材を育成すること、第二の使命の研究は、最先端の研究活動を行い「知の創造」、「知的体系の構築」のため深く真理を探究するということです。また、大学における創造的な研究活動は、その過程に学生たちを参加させ、人材を育成することが含まれます。このように、大学における教育と研究は車の両輪をなすものであり、不即不離でなければなりません。第三の使命の社会貢献にはいろいろな形態があり、知の社会発信、産官学連携、政策提言、附属病院の高度医療など多様な展開が可能です。

 このように多様性を特徴とする大学の使命を果たすべく、時流に流されることなく、「凛」とした気概を持ち、学術の府として、その存在を国内外に示し、同時に京都という誇りと文化に満ちた環境下で、教養人、国際人、世界的研究者を輩出し続けることができるよう、京都大学を確固たる戦略のもとで運営していくことがいま求められています。

 我が国および人類の将来にとって大学こそ知の源泉であり、衍沃な大地のごとく、人材と研究成果を生み出すための、もっとも必要とされる存在でもあります。

 言うまでもなく、大学の根本は教育と研究です。それらが充実したものであるためには、教員、職員が誇りを持って仕事に取り組め、その中で優れた学生が育成され、そしてそのシステム自身が持続可能であることが必要です。人材こそが大学の最も大きな資産であり、現在のみならず将来の京都大学を担う優秀な教員、職員を確保、育成すること、ならびにこれら教職員を今以上に大切にする雰囲気を醸成することが最も重要な戦略的課題となります。すなわち、教員には教育や研究に専念できる抜本的な体制作りが喫緊の課題であると考えています。また、併せて、教育・研究・医療を支えるために職員が誇りと向上心を持てる体制を確立することに力を尽くす必要があるとも考えています。

 そのため、大学として、教育支援、学生支援に加えて、確固とした財務基盤、研究支援、国際交流支援、環境施設整備を強化する戦略がなければなりません。

 総長として私は、10年後の理想的な京都大学をイメージし、その理想の実現のために着実なアクションプランを立て、対話を重視しながら、全学の協力のもと、魅力・活力・実力ある京都大学を実現してゆく所存です。全学の皆様のご協力を切にお願いする次第です。

2008年10月

京都大学総長
松本 紘

 

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