京都人類学研究会11月例会 -部分的「自己」で作られる都市的関係に関する考察-東京の性風俗世界からアムステルダムの「飾り窓」へ-

開催日
2016年11月11日 金曜日
時間
18時30分
ターゲット
要申し込み
不要
公開日
※ ポスターを追加しました。(2016年10月27日)

 京都人類学研究会11月例会を開催します。奮ってご参加ください。

基本情報

開催地
  • 吉田キャンパス
総合研究2号館4階
本部・西部構内マップ[34]
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r_y/
対象
  • 企業・研究者の方
どなたでも参加いただけます。
参加費
当日は資料代として200円いただきます。

イベント内容

発表者

熊田陽子 (首都大学東京人文科学研究科・日本学術振興会特別研究員SPD)

コメンテーター

新ケ江章友 (大阪市立大学創造都市研究科准教授)

要旨

都市部を中心に巨大な市場を形成する日本の性風俗産業は、「裏(社会)」といったイメージで周辺化されることが少なくありませんが、一部を除いて通称「風営法」(あるいは「風適法」)に則った適法な運営を行っており、多くの人々が関与しています。その意味で、適法的運営から成る性風俗産業は、現代日本の公的領域-すなわち、政治・経済・文化(ここでいう「文化」とは、日常の文化でもあり、日常を創り出す法制度の文化でもある)-に包摂ないし接合された、「性風俗世界」と呼べるような存在と理解できるでしょう。

本発表では、性風俗世界に関わる人々の中でも、そこで働く女性たち(「おんなのこ」)に焦点を当てます。「おんなのこ」としての日常では、さまざまな関係が作られます。客との関係においては、生殖と切り離された「遊び」としてのプレイを通じて、客を楽しませることが仕事となります。他方、同僚の「おんなのこ」との関係では、なるべく多くの客を獲得することを目的とした、いわばゲームが展開されます。(ただしライバル関係にありながらも、「おんなのこ」たちは、笑いの実践を駆使することでつながりを作ることもあります。)こうした「遊び」やゲームという「おんなのこ」の日常の基盤となるのが、人々の関係作りについて都市空間がもたらす可能性です。「おんなのこ」である時、その人は、自分が持つ複数のネットワークの存在や内実を秘匿し、部分的「自己」において他者と関係を作ります。それは、見知らぬ大量の人々が密集する都市で、人々の群れに隠れることによってこそ可能となります。これを都市的-部分的「自己」と規定し考察を行います。

なお、発表の中では、現在調査研究を実施しているオランダ・アムステルダムの合法的赤線地帯にある通称「飾り窓」で働く人々にも触れ、東京の事例で確認した関係性のあり方と比較検討を行いながら、今後の研究の方向性について言及します。

備考

京都人類学研究会2016年度運営委員
代表: 平野(野元)美佐
お問い合わせ
京都人類学研究会
E-mail: kyojinken2016*gmail.com (*を@に変えてください)