平成16年12月7日



平成19年度以降の入学者選抜方法に係る基本方針について



           京都大学



1. 経過
 平成15年度に尾池副学長(当時)を座長とする入試制度検討WGにおいて、本学の入学試験の改善に向けての課題が示された。さらに、平成16年4月1日から国立大学が国立大学法人に移行したのを機に、各大学はその入学者受入方針に基づき、それぞれの特色を生かした入学者選抜方法を行うことが一層求められるようになった。
 また、社団法人国立大学協会においても、先の総会において、平成19年度の入学者選抜は平成18年度の方式を踏襲せざるを得ないが、平成20年度以降については、抜本的改革も含め、検討を継続中であるという中間報告が出された。
 以上の点を踏まえ、入学者選抜方法研究委員会において、本年3月から各科目等に関わる臨時委員を加え、平成19年度以降の入学試験について検討を行い、今回基本方針を策定したところである。

2. 基本的視点
 本学における入学者選抜方法を考えるうえで最も重要なことは、学力面で質の高い学生を積極的に確保することである。それには、総合大学として国語・数学・英語・理科・社会のいわゆる5教科の基礎学力の確保が重要な課題である。
 また、本学における教育の基本理念と入学者受入方針にのっとり、入学試験のあり方を継続的に点検し、入試制度の質を高める不断の努力が必要である。
 さらに、入学者受入方針は入学後の教育と連動するものであり、併せて入学後の教育についても検討を行った。

3. 2次試験
 本学における前期・後期の併願率は高く、前期日程試験で不合格になった受験生の多くが後期日程試験を受験している。このような状況で、同じタイプの個別学力試験を実施することは、異なる尺度による選抜が望ましいという観点からは問題がある。
 また、試験実施の観点からは、限られた日程で多数の教科・科目の出題・採点を一つのミスなく行うことは、教職員の負担や問題の質を確保する点からも限界に達している。
 したがって、後期日程試験でいわゆる5教科の共通問題としての学力検査を廃止する。
 このことに伴い、前期日程試験をさらに充実させ、入学者受入方針に沿った学生を選抜するのに適切な内容となるようにする。
 平成19年度の入学者選抜方法は国大協の分離分割方式に基づいて行うが、前述の全学の方針を受け、前期・後期日程の入学者選抜をどのように実施していくのかは、各学部が入学者受入方針に基づき、主体的に判断することである。各学部の入学者選抜方法については、現在検討中であり、年度末には公表する予定である。

4. センター試験
 論理的な思考過程を評価する記述式の解答を要求する2次試験を実施しようとする場合、その採点には多大な時間と労力が必要となる。効率的に2次試験を実施するためには、現状ではセンター試験を第1段階選抜に利用する2段階選抜方式は不可欠であり、このためにも本学においてはセンター試験を従来どおり利用する。
 
5. これからの入学者選抜方法の検討について
 国立大学の入試制度は平成20年度以降大きく変わることが予測される。本学においてもこれに対応し、中・長期的な入学者選抜方法の検討を今後も継続して行わなければならない。このような検討を行う場として、すべての教科・科目についての作題に関し、継続的・組織的に検討し、知見を蓄積していくための専門委員会の設置や、各教科の代表者及び全学的立場からの委員を臨時委員として参画させた、拡大した入学者選抜方法研究委員会を継続させることが必要である。これらの委員会は密接に連携をとりながら、出題体制や教科・科目等について検討を行い、実効ある委員会とすることが肝要である。


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