免疫:腸粘膜固有層で起こるIgA産生細胞へのクラススイッチと分化

  腸管粘膜は免疫防御の最前線の1つであり、そこでは免疫グロブリン‐α(IgA)が絶え

ず生産され、片利共生細菌や食餌中の抗原と反応している。パイエル板における抗原刺激

のあと、IgA↑+★リンパ芽球(B220↑+★IgA↑+★)がリンパ循環、血液循環によって移動

し、最終的には腸粘膜固有層へと戻るとの見方が一般的である。活性化誘導型シチジン脱ア

ミノ酵素(AID)をもたないマウスでは、クラススイッチ組換え(CSR)や体細胞高頻度変異

が起こらない。CSRによって、発現される免疫グロブリン重鎖定常領域C H)遺伝子がCμから

他のCH遺伝子へと変わり、その結果免疫グロブリンのイソ型がIgMからIgGあるいはIgE、

IgAへと切り替わる。またAID↑-/-★マウスでは、大量の免疫グロブリン‐μ(IgM)が分泌

されて糞として排泄され、腸内にはB220↑+★IgM↑+★細胞とともにB220↑-★IgM↑+★形質

細胞が蓄積する。ここでは、固有層のB220↑+★IgM↑+★細胞がAID、およびCSRが起こったこ

とでループを形成して切り取られた環状DNAの転写産物をまだ発現していることから、この細

胞はCSRをちょうど終えたばかりであることを明らかにした。固有層のIgM↑+★B細胞は、生体

外でも生体内でも同じようにIgA↑+★に切り替わるよう、あらかじめ拘束されているらしい。

固有層のIgM↑+★B細胞を固有層のストロマ細胞と一緒に培養すると、B細胞からIgA↑+★プラ

ズマ細胞への選択的切り換えと分化が促進される。これらのことから、腸粘膜固有層の

IgA↑+★細胞は、B220↑+★IgM↑ +★リンパ球からその場でクラススイッチを起こして生じると

結論づけられる。

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