創立125周年に寄せて

有松 遼一

回り道で拾った経験、
ヒト、モノが繋がり、
京都大学での時間が
静かに還ってきた。

能楽師ワキ方

有松 遼一

京都大学大学院文学研究科 博士後期課程
2013年研究指導認定退学

 京都大学に入学して博士課程を出るまで、十数年間お世話になった。人より長居をしたかもしれない。
 京都大学には、豊かな時間が流れている。京都の街も学生にやさしい。専門とちがう本を気ままに読み、かしこの同級生がまぶしくてこっそり勉強した。サークルの茶道と能楽には真剣に打ち込みすぎたが、ホンモノを学ばせてもらった。友人と飲み屋でしょうもない議論に朝まで白熱した。鴨川の河原、西部講堂のぼろボックス、ひとり暮らしの安アパート。役に立つとは何か、自分は何者なのか、世間の睨みからちょっと離れて考えさせてくれた。
 たくさんの回り道で拾った経験、ヒト、モノが、社会に出て少しずつ繋がりはじめた。人生はきっとそういうものなのだろう。京都大学での時間が静かに還ってきた。
 豊かで自由な風がこれからもずっと流れますように。心から感謝を込めて。

2021.04.08 THU

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